- 風の中のマリア/百田 尚樹
- ¥1,575
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「しかしマリアは最後までハンターでいたかった。」
オオスズメバチ、マリアの一生。
昆虫嫌いの私が上司に上手くのせられて、この本を手に取った。
だいたいスズメバチとミツバチの違いも分からなかった。
大きいほうと小さいほう。
両方とも一度刺したら抜けない針だと思っていた。
スズメバチは昆虫を狩り、その昆虫の肉を幼虫の「妹」たちに与える。
自身は食べない。
というか食べられない。
幼虫が出す唾液をエネルギー源として生きるらしい。
そんな生き物の知識もさることながら、狩りをするためだけに生まれたマリアの
擬人的な心情表現に惹きつけられた。
卵巣はあるのに子どもを産めない。
恋などできない。
マリアの寂寥感はオオスズメバチのワーカーとして生まれた宿命の重さを感じさせる。
ハチがそんなこと思ってるはずないだろ、と言ってしまえばそれきりだが、
人間的に見てみると、なんとなく親近感を抱かずにはいられない。
みんな生き残るために狩りをする。
突如溢れる恋心や仲間の死への哀愁を本能で振る払う様は、冷たい風吹き荒れるこの世の中で
もがき続ける自分たちの姿に重なる。
人間関係ストーリーから少し離れて、こんな昆虫ワールドに浸るのも悪くないと思った。
この本を推薦してくれた上司に感謝せねば・・・。