「未来さんは、僕に

キスしてって言うメールをくれたんです」


あえ?

それすらもしたことなかったの???


と言うより、手を繋いだこともないとよ~!

って、未来は言ってたっけ。


何か未来は、結婚式に出席して、

三次会まで出席して、泥酔して、

電車で家に帰ろうとして、

関係のない駅で降りて、

ショール、バッグ、靴を

ぼとぼと落として。


で、ナンパされて二人の車に乗って、

あちこち連れて行かれて、

最終的に


「何かすれてる女だったら、

山でやり捨てるんだけど、

未来さんにはそんなこと

しちゃいけないって思ったから、

家まで送ったんだ」


とのことで、元ヤンに

送ってもらったことすらあるのだ。


何となく上質な女性に見えるらしい。


その最後の恋人も

そんな風に大事に想いすぎて、

手を出すのをためらいためらいの

日々だったらしい。


「そうなの。

じゃ、最後の未来のお願いだから、

叶えてくれる?」


と言うと、「はい」と答えた恋人。


私は斎場のドアを閉めて、


「じゃ、あたしは外に・・・」


「いや。居てください」


「え?でも・・・」


でも、見てみたくなった。

あたしはお棺の蓋をずらし、

様子を見てた。


うつくしかった。

桜の花が散ってたらもっと素敵な

キスシーンだったろうと感じた。


何しろ・・・。

未来は淡い色の口紅は

好みじゃなかったので、

ワインレッドとかを

つけることが多かった。


でも、最期に施されたのは

淡い桃色の紅。

すっごい似合ってた。

清々しいまでに清かった。


未来。

最後の恋人こそ、

本物だったのにね。


過去、あんたが好きになり

追いかけてた男性たちとは

一線を画してて、

羨ましいくらいだったよ。


でも、桜塚やっくんみたいな

華のある男性が好きで

真面目一筋!みたいな

恋人にはメロメロではなかったね。


でも、信用は一番してたんだよね。


未来。

あたし、夢が叶うかも知れないよ。

ただ。

現実と夢をごっちゃにしないように、

浮かれるのは控えなきゃとは

重々承知なんだケドね。