ケイくんは、ほんとすごいひとだと思う。
何か人生を悟っちゃてる感じ?
ケイくんから初めて、訊いた話。
あの時、あたしの病気の話をしてて、
彼は思い出すことが何かあったのか、
「オレが18年間1万回オヤジに殴られたとしたら、
妹は100回、弟は1回だ!」
「!」
もう、何も返す言葉がなかった。
弟さんは、彼の6歳年下で、
ご両親は、思いもせぬ子宝に、
非常に甘やかして育てたらしく、
殴るのは、黙って耐える長男に
向かっていたのではないかと考える。
それから、多分、妹さんと弟さんに
殴られそうになったら、身を持って
かばっていて、余計殴られていたのではないかと。
決して、彼は暴力は振るわなかった。
口はちょっと皮肉が多かったりするけど。
とにかく強く優しいひとだ。
迷惑ばかりかけていたあたしのことを
無碍にも出来ないでいたりしてる感じで、
非常に申し訳ないのだが、
自分以上にあたしの傾向と対策を知ってる
ひとも居らず、つい、連絡を取ってしまう。
そして、切るよとも言わず、
あたしから必ず切り上げる。
ーーただ。
昨日は、泣けて仕方なくなかなか
眠れなかった。
失った大事なひとたち。
もう、二度と戻らない未来。
生き別れのケイくん。
あたしにもっと強さに裏付けられた
優しさがあったのなら。
そう感じて、どれだけ失ったひとたちが
いとおしく大事であったかと
考えると、涙が止まらなかった。
ケイくんとはこのままでもいい。
二度と連絡が取れなくなるような
事態は作るまい。
そう決めている。