思い出し記録で、術前の通院のことを書いていましたが、一区切りついて、次は入院中の話。。
と思ったんだけど、
どうしても記しておきたいことがあるので、一回横道に逸れますね。
あっ、いつも逸れてばっかりか!てへぺろ
蛇行運転すぎてもう、正しい道が見えないブログでごめんなさい笑




きのこ




乳がん告知を受け、家族にもそれを伝えたけれど、特に変わらない日常を送っていたある日のこと。
時期は忘れてしまったけれど。。寒くなってきた頃だから、確か10月の終わりだったかな?

子供が塾の日で、いつものように終わる時間に車で迎えに行って、駐車場で待っていたけれどなかなか出てこない。
ほとんど子供たちが出てきて、人影が少なくなったので、おかしいなーと思って車を降りて塾の入り口まで歩いていくと、子供の姿が見えた。
誰かと話していた。
先生かな?と思いつつ近くに行ったら、子供の1つ上で、学校は違うけど他の習い事でも一緒になるお友達だった。
学年が違うので普段は時間帯も違うけれど、この日はたまたま振替か何かで同じ時間帯に来ていたようだった。

こんばんはーと私が声をかけると、お友達はびっくりした顔をした。
ん?なんでそんなに驚くんだろう?
と、私が思った矢先、お友達は私に言った。
「あの。。今、聞きました。。
お母さん、がんなんですか?大丈夫ですか?」

えっ。。(O_O)

私、一瞬、頭の中真っ白。
でもその次の一瞬で色々なことを考えた。

なに?なに?ガーン
なんで?
なんで友達に私の病気の話したの?アセアセ
しかもがんって言ったの?アセアセ
ていうか、この子そんなにめっちゃ親しい子でもないし、なぜ話す?!
この子のお母さんとそんなに親しくもないのに。。家で話されたらやだなぁ〜!
言わないでって言おうかな?!
いやーでもその方がインパクト残っちゃうかー
とりあえずここを切り抜けないと!

この間、多分1秒くらい。
脳みそがフル回転したからそんなに絶句しなくて済んだ。
でも、顔は多少引きつってたかもしれない。
「あー、うん、ありがとう!治療してるから、大丈夫なんだよー」
「そうですか。。あの。。じゃあ、頑張ってください!」
お友達はぺこりとお辞儀して、走って行った。
その後ろ姿を見送りつつ、私は今度は子供に対して、頭の中で色々考えた。

なんで言うかなーそんなこと。。ガーン
まぁ、人に言うなとは私も説明してなかったか。。
いやでも、普通わからんか?気軽に話すことじゃないって。。
うーん、まだわからんのかな。親が大きな病気なんて物心ついて初めての体験だしな。。
とすると頭ごなしに叱り付けてはいけないか。。
でもなー!なんてことしてくれたんだよ〜えーん

少し気持ちを落ち着けるために、深呼吸をしてから、子供に尋ねた。
「あの子に、お母さんががんになったこと話したの?」
「うん・・・」
私の雰囲気で、叱られると読んだのか、子供は神妙な顔をしていた。なので、怒る訳じゃないから話しようといって車に乗せた。

車に乗るなり、子供はごめんと言った。
「謝るってことは、悪いことしたと思ってる?」
「お母さん怒ってるから。。話すのはよくなかったなと思って」
「怒ってるというより、びっくりしたのと、困ったのと。。ちょっとパニックになったんだ。
なんで、あの子にお母さんの病気のこと話したの?」
子供は少し考えて、
「わからない」
と小さく言った。
「自分から、話したんだよね?」
「うん、、でも、なんで話したのか、理由とかはわからない」
「そっか。。」

私はなるべく感情を抑えて、がんになったことは、人に話して欲しくなかった。と、伝えた。

子供は、また、ごめんと言った。

「お母さんも、人に言わないでとは言ってなかったから、わからなかったかもしれないね。だからそれはもういいよ。怒ってない。
でも、今後のために覚えておいて欲しいことがいくつかある」
私はそう前置きして、子供に話をした。
大人になって、いつの間にかなんとなくわかるようになったことを、子供に理解できるように伝えようとするのは難しかった。


大きな病気になった時、人は、大抵、そのことを周りに知られたくないと思うもので、場合によっては家族にも隠す人もいる。
なぜかというと、大きな病気にかかったことを言うと、親しい人は、心配したり、悲しんだりしてくれるけれど、びっくりして泣いてしまったり、ショックを受けてしまう人もいるから。
大きな病気にかかって辛いからこそ、そうやって親しい人にとっても辛いことを、伝えたくないって思うんだ。
それと、あまり親しくない人には、余計に知られたくないんだ。
人間は色々な考え方を持ってるから、中には、病気になったことを悪く言う人もいる。好奇心で、病気のことをアレコレ聞いてくる人もいる。噂好きで、色んな人に大袈裟に言いふらす人もいる。。
親しくない人だと、あの人が病で辛いだろうとか考えずにあれこれいうから、本人はそれに傷ついたり、負担に感じてしまうことがあるからね。


「・・だからお母さんも今のところ、家族と、実家と、親友2人にしか、病気になったことは話してないよニコニコ
もちろん、家族のみんなにも心配かけたくはなかったけど、肉親や特に仲良くしてる人にはいずれはバレてしまうよね。入院や手術にはサポートも必要だからお願いすることになるし。
入院ギリギリになって言うより、前もって知らせることで、ショックを和らげようと思って早めに伝えたんだ。
でも、それ以外の友達には言わない。
親戚でも、そんなに会わない人には伝えない。
仕事を休まないといけないから、職場の人たちにはいずれ説明するけど。。
そういう、説明が必要な場合にしか、これから先も話すつもりはないんだ」
そっか。。と子供は呟いた。

自分自身が大きな病気にならないと、こういう気持ちって多分わからない。
でも、わからないままで大人になったら、人を傷つけることがあるかもしれない。
うちの子は、少し、人の気持ちを察知する能力が薄いところがある。
自分がした言動で、相手や周りがどう思うか・どういう結果を招くか。。そろそろ、考えられる年齢のはずだけれど、苦手なようだ。
これは、その事を子供に教えるいい機会だったと思うことにしよう。
と、私は気持ちを落ち着けた。


「それとさ、特に、がんっていう病気は、重い病気だってみんなが知ってるよね。
場合によると死んじゃうかもしれない病気だから、すごく強いインパクトがあるよね。
さっき、お友達は、急にそれを伝えられてびっくりしたと思う。そこへ私が現れたから、もっとびっくりしちゃったと思うアセアセ
自分が、友達のお母さんが重い病気や怪我したって急に聞いたら、その友達やお母さんに何て言ってあげればいいか、わからなくない?
あの子は、大丈夫ですか?頑張ってくださいって声をかけてくれて、嬉しかったけど、きっとすごく頭の中はパニックだったと思う。
自分なら、そういうふうにできるかな?
もしかすると、そんな話されても困る!って逃げたくなっちゃうかもしれないよね。そういう子もいると思うよ。
これからは、この話をしたら相手がどう思うか?困らないか?も、考えて話をするようにしないといけないね」
子供は神妙な顔でずっと聞いていてくれた。


「最後に、プライバシーの話ね。
うちのお母さんがこんなことしてウケたわーとか、おばあちゃんがこういうこと言ってムカついた!とか、そういう日常の話は誰となにを話しても別にいいよ。
でも、人に話して欲しくないこと・話すべきじゃないことがあるのはなんとなくわかるよね?
細かく分けるのは難しいけど、、ざっくり言うと、個人情報と、人に知られたら恥ずかしいようなことは、家族でも自分以外の人のことは言ってはいけない。
病気のことは、個人情報だからさ。自分から言う以外は、人に伝えるべきじゃないんだ」
「わかった。。ごめん」
「うん。これからは、気をつけてね」
そう締めくくろうとして、ふと、思った。
「もしかして、お母さんががんになったことを聞いて、辛かった?辛い気持ちを、誰かに話したかった?」
元々口数が少なめで、思春期にさしかかって表情が読みにくくなっている子供は、がんになって手術をすると伝えた時も、悲しんだり心配する素振りは見せず、そっか、頑張れ。と一言言っただけだった。
なので、あまり深刻に考えてないのかなと私は思っていたけれど、実は違ったかもしれない。
どう気持ちを表していいのか分からなかっただけで、本当は精神的にダメージを受けていたかもしれない。。
子供はしばらく考えて、
「お母さんががんって聞いた時は、悲しかったし、嫌だった。でも、何で今日話したのかはわからない。誰かに気持ちを話したかったのかもしれないけど、よくわからないショボーン
「そっか。。わかった。心配かけてごめんね。でも、治療して必ず治るから、大丈夫ウインクがんばるから、応援してね」
人の気持ちを考えることが少し苦手な子供。自分の気持ちを表現したり語ることも苦手。
だから、このよくわからない、は、たくさん気持ちがあるということかなと思った。
たくさんありすぎて、表せない。。
うん、そういうことも、あるよね。


長々と、話してしまったから、家に着いても車を降りずに話し続けていて、助手席で黙って聞いていた子供。
怒ってないよとは言ったものの、こんなに長々話されたら説教されたと感じただろう。
でも、どうしてもちゃんと話しておきたかった。
同じ事を繰り返されては困るから。。
最後のやりとりで、本当に悪かったと思ってくれているのも、子供なりに色々考えて思うところもあるのだということも伝わったので、私も安心でき、家に入るときには気持ちを切り替えて笑顔になれた。
本当は、何でそんなこと人に言うの!!ムキーって怒鳴りたくなるほどショックだったけど、気持ちを抑えられた自分を、この時は褒めた。



この時はねニヤリ