Eちゃんの旦那、◉◉との子供を産むつもりだという歯科医院の女、Y。
今日はその話をしにきた、とEちゃんに告げた。
歯科医院の女Y
「奥さまには申し訳ないですが、
私は、お腹の子を産むつもりです。
自分の年齢的に、もしかしたらもう妊娠はできないかもしれない。
・・・うちの両親も、妊娠を喜んでいました。
順番は違うけど、孫の顔が見れるならそれでいい、と言っていました。
昨日の電話が来るまでは。
昨日の電話が来てから、
両親とも相談しました。
両親は、・・・驚いてたし、怒ってたし、悲しみました。
特に私の父親には、ちゃんとした家庭で育てられないなら、産まないほうがいいと言われました。
でも、私は、産みたいんです」
「だから、もし、慰謝料とおっしゃるなら
それもお支払します。
結婚していたのは本当に知りませんでしたが、
ご迷惑をかけていることに違いありませんから。
◉◉さんがどのようなご決断をされるかは、
わかりません。
でも、子供は、産ませて下さい。
もちろん、養育費もいりません。
認知だけ、して欲しいです。」
歯科医院の女、Yも、
部屋に入ってきてからずっと緊張した面持ちだったが、
自分の言いたいことを一気に言い終えて、
少しほっとした顔をしたように見えた。
Eちゃんは、
Yの話に圧倒された。
この人は、Yは、
本当に知らなかったんだ。
それなのに、本来払わなくても良いはずの慰謝料を払うと言っている。
そして、養育費もいらないと言っている。
子供を産みたい、ただ、それだけなんだ。
歯科医院の女Y
「認知は、して欲しいです・・・。
ですが、奥さまと離婚して、
私と結婚して欲しいなんて、言いません。
今、お腹の中にいるこの子は、
産ませて下さい」
自分も子供を産んだばかりのEちゃんは、
その気持ちが痛いほどわかった。
ノイローゼ気味になるほど、悩んだ子育て。
でも、この子の為なら何でもできると思える程、愛おしい。
Eちゃんは、
目の前に自分の旦那がいるのに、
旦那が行方不明になるきっかけになったYの方に、
感情移入し始めていった。