簪の祖たる存在は、縄文時代からありますが、あくまでも魔除けなどの意味合いを持っていました。
魔除けではなく、装飾品としての簪は、中国から伝わったとされています。
中国でも簪を髪に飾る文化があるのですよ。
しかも女性だけではなく、男性も簪を挿していました。
ただし、男性が簪を使うのは、お洒落目的ではなく、官僚など高い身分の人が被る冠(かんむり)を留めておくため。
そのため、華やかな装飾は少なく、シンプルな棒状の姿をしているものが多いのです。
杜甫(とほ)という中国の詩人の作品である『春望(しゅんぼう)』でも、冠を留めておくための簪のことが書かれていますよ。
簪はすなわち、装飾品のみならず、高貴な男性の身だしなみとしても使われていたのですね。
特に漢服を着ていた時代の中国でも、簪は欠かせない重要アイテムだったのです。
後に奈良時代の頃、日本でも中国の影響を受けて、簪を髪に飾る文化が発展しました。
でも平安時代からは垂髪(すいはつ)文化が主流になり、簪は日本ではあまり使われなくなっていったのです。
江戸時代になると結髪文化と共に、日本独自の簪文化が発展していきました。
簪の歴史って時代背景から見ても、とても興味深いし、日本の時代の美意識に沿って活躍していたのです。
中国にも簪文化があるので、なおさら簪の奥深さが感じ取れますね!
私は今後も簪の調査を続けていきますので、また何か新たに情報や知識を得られましたらご紹介します。
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