こんなご時世ではありますが、今回は少し着物に関する話をさせていただきたく存じます。
簪のおかげで着物を着るようになった私たち夫婦は、夫の実家には着られそうな着物がないか、義両親に尋ねてみました。
そして収納スペースの奥の方から、普段着用の格子模様の着物と、紋付の黒留袖、袋帯、帯締め、草履など、正装用の着物と小物一式が出てきたのです。
義母はもう不要だから欲しいものがあったら持っていって良いと言ってくださったため、私は使えそうな着物や小物を頂くことにしたのです。
残念なことに格子模様の着物や草履は私にはサイズが合わなかったのですが、袋帯は今後フォーマルな場で使えるため、譲り受けることにしました。
そして、紋付の黒留袖は最初、売るつもりでもらうことにしましたが、よくみると状態も良いし、なんと紋は五つ紋、つまり最も格上の正装着物だったのです。
入っている紋は我が家、つまりアキヤマ家の家紋であり、おそらく特注で作られた可能性があったため、大変貴重なものだと私は感じました。
そして売るのは惜しいと思って、素干しをした後改めて、柄が剥げないように紙を挟み、防虫剤と除湿剤を添えて保管しておくことにしたのです。
同時に譲り受けた袋帯も帯締めも、正装時に使えるので、同じく現在は我が家で大切に保管しています。
ちなみに紋付の黒留袖をちゃんと羽織ってみたところ、裄丈などサイズも私に合っていたので、より売ってしまうのはもったいないなと思ってのですよね。
もしかしたら着る機会も出来るかもしれないので、アキヤマ家の嫁として、紋付の黒留袖を大切にしていこうと心に決めました。
思いがけなく最上級の格を持つ着物と帯を手に入れることが出来て、本当によかったと思っています。
昨日紹介した加門七海女史の著作である『着物憑き』でも、着物が着るべき人を選ぶ、と記されていたので、ひょっとしたらこの黒留袖は、私に着てもらいたくて現れたのではないか、とさえ思えるようになりました。
そのため、今は大切な宝物として保管し、黒留袖を着る機会が早く来ないか楽しみにしております。