瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった 9/24公演 | ゆるりとしましょ

ゆるりとしましょ

日々のこと、遊びのこと、なんかいろいろ。
気を張らずにいきましょ。それがイチバン♪

出演: トノキオ/関智一 クラゲ/西山宏太朗 ラッコ/佐藤拓也
     ワカメ/狩野翔 サンゴ/福圓美里

 

作演出が末原拓馬で朗読劇でさとたくが出るって聞けば、私が興味を引かれるのも当然で、
昼夜どちらの公演もチケットが確保できて現地で観ることが出来ました。
昼の部は2階の後方。階段形式の座席列は高さがあってステージが見渡せる感じ。
ただ、高さを出した為に座面が高く座っても足がぶらぶらするという。
 

舞台セットは末原さんがデザインしたと思われる絵が描かれた段差が数か所あり、真ん中には
真っ白なベットが配置。マイクスタンドを使わずヘッドセットで朗読するスタイルでありました。

 

ーあらすじー

 自ら命を絶とうとする老人。 彼の部屋に窓から入ってきた少年は、
男の目の前に瓶をかかげて言った。 「海を盗んできた! 」
瓶が床に叩きつけられ割られると、中から海があふれ出し、ベッドは大海原に浮かんだ!

 

不思議な物語で、夢の世界と空想がふんだんに織り交ざった、でもただ優しいだけじゃない

お話でした。なんだったらわりと重めの感情の渦に身を投じることになりました。


老人トノキヨが、小5の夏休み明けに提出しなかった宿題をやり遂げて提出するっていうのが
お話の主軸かな。
物語が進む中で、彼の人となりが分かり、周りのとの関係性が浮き彫りになり
「なぜ提出しなかったのか」も語られることに。
冒頭は老人とおかしなキャラクター達の出会いだったんだけど、話が進むにつれて
彼らはトノキヨの同級生で友達で仲間だったことが明かされていく・・・。
 

さすがのちぃちとでも言うべきか。序盤は老人然としてるのに、物語が進んでいき、
周りが「友達」だと分かった辺りからちゃんと子どもになってる。振り回されるキャラクター性を
違和感なく演じてて、それでいて最後はしっかり引っ張っていく感じ。
壊れて闇落ちしてゆく宏ちゃんを後ろから抱きしめ必死に語り掛けるシーンは熱がこもってて

凄かった。
 

ある意味、今回の主役その2な宏ちゃん。トノキヨを夢の世界に引き入れる=物語の世界に
引き入れるって感じでその様がまた魅力的でありました。
普段あまりしないポジション、キャラクターを演じたって言ってた今回、
ラスト付近の発狂からの崩壊具合も凄くて、ここに宏ちゃんを配置した末原さんも凄いかも。
 

ストレートに嫌味なく陽の気を放つ狩野くんのワカメBOY 芝居勘が良きひとなのかも。
いいクッション的ポジションにもなってて、なんか彼を見てるとちょっとほっとする感じがした。

 

紅一点の福圓ちゃん 可愛いのに終盤で自身の本当の思いから出た言動、
闇が広がり、なんだったら、禍々しい空気を放つ勢いでサンゴの「暗部」をのぞき見した気分。
分かりやすい「少女」ポジションじゃないってのも私的に好き。

 

ちょうど良い具合のキャラの目立ち方をしてたラッコのさとたく。知己がある「優等生」っぽい
タイプに終始するのかと思いきや、そうではなく「子ども」らしい抜け感もあって物語にすごく
良い感じにおさまってた。
終盤、誰よりも泣いてて、夜の部では発狂する宏ちゃんに突っ伏して手を伸ばすという
熱演っぷり。
 

さとたくだけじゃないけど、みんな感情全開の号泣状態だったのに、ラストの地の文を読むときは
凪いだように静かにしっかりと言葉を紡いでて、声優さんって凄いなぁって改めて思ったり。

 

本編あと、作演出の末原さんとキャスト全員によるアフタートーク付き。

朗読劇って銘打ってたけど、ほぼストレートプレイみたいな仕上がりなった今回の作品。
動きもつけていく感じで稽古が進み、出来るだけ目を合わせてセリフを言い合って欲しい、

というオーダーも末原さんからあった模様。
1日目の出演者だった下野君あたりが、その演出オーダーに応じるように自由度の高い
演技をするようになり、他の演者もその波に乗るように演じていったとか。
 

昼の部のトーク時明かしてくれたウラ話のひとつ。
壊れたクラゲを後ろから抱きしめてトノキヨがセリフを言うシーンで、ちぃちは
自分の台本よりも宏ちゃんの台本の方が近くにあったからそっちを見ながら
演技してた瞬間もあったとか。
そして、夜の部、同じシーンで台本をぐしゃぐしゃにして自分の胸に抱き込んでしまう程、

熱のこもった演技を宏ちゃんがしてたので、一切、宏ちゃんの台本は見れなかった模様w
ちゃんと自分の台本を引き寄せて問題なく演技を続けてたちぃちでありました。

 

台本に目を落とす暇がない時がある、本作の朗読劇。そういう意味でも珍しい。

 

夜の部、物語が始まる前、客席に手を振ってそれぞれの立ち位置につく段取りだった
みたいなんだけど、方々に投げキッスをするちぃちw なにそのオモシロ

そして、そのキッスを手で払って落としていくさとたく  

ちなみに狩野くんは胸にしまう仕草をしてたw
キャラじゃない、お遊びも出来るメンツですw

 

ちぃち 夜の方がちょっとだけ子どもの時と大人の時の演技に差をつけてがわかりやすく
なってたかも?

当日の開演前の場当たりも結局、通し状態だった模様。結果、1日で3回、やったようなもの。
 

台本的には1時間30分くらいの物語の筈が、昼の部を終えてみたら、みっちり2時間モノに。
夜の部では気持ち巻いたところもあって1時間50分くらいに。(ほんの気持ちです)

2時間みっちりあったけど、ダれてた印象はなかったので、これはもう2時間ものだと思うw

 

夜の部のトーク中、わりと放心状態だったさとたく。末原さんのトーク振りにも
ちょいちょい素っぽいさとたくが見え隠れしてました。全身全霊で演じた結果かと。
さとたく的にはラルスコットの一人芝居を経て、2度目の末原さん演出だった本作。
心預けて、役作りや他の演者さん達と作品を作っていったんだろうなぁと想像してみたり。

末原さんとさとたくの距離感、良い感じなんだよねえ。またこの二人がタッグを組んだ

作品が観てみたい、そう思わせてくれる充実した1日でありました。