民話の台本作りをやっていたら
いつの間にか7時30分を回ってしまった
私達が作っているのは
読ませるための物ではなくて語るための台本なのですね
ですから語りを通じて想像して貰ったり
あるいは間を取ってじらしてみたりと、その辺になるとテクニックですがね
まっ遅くなりましたので
一つの昔話を載せてゴメン被りましょう
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むかしあったんだと、
あるところにナ、若い夫婦が住んでいたそうな
亭主は身体の弱いおかみさんを気遣いながら
地主のとこで一生懸命働いていたとサ
ある日の晩方、ひとりで寝ているおかみさんの枕元にナ
いつの間にか、その~若い男が入ってきてんだと
ほんなもんだからナ、起きあがろうとすっと
「難儀な様じゃが、決して怪しい者ではない
亭主殿が留守なら、わしがこしゃってやろう」って
飯の支度をすっと、す~と、どっかへ消えて行っちゃうんだと
変だなと思いながらも、食ってみるってえと
これがまた、こでらんねえ~味でナ、ついつい箸が進んで
お膳が空っぽになっちゃうんだと
不思議なこともあるもんよの、そう思っていると
次の日も、また次の日も、辺りが暗くなるってえと
その~若い男が入ってきてナ、「心配なさるな、召し上がれ、」って
四方山話しをして、帰っていくんだと
なにを聞いても「今に分かる」としか言わないんだと
ところが、そんなことが何ヶ月か続くと
おかみさんの身体の調子が思わしくねぐなってきてナ
何でもよく当たるちゅう行者がいるもんでナ 見て貰ったんだと
じいっと、おかみさんの顔を見てた行者は、
「当たるも八卦当たらぬも八卦、気になさるなや、
もしや、旦那の留守に出入りする男はいないかな?」
ハッとして、おかみさんの血の気が引くのを見て取った行者はナ
「男の襟元に、この針を刺しておき、跡をつけていきなされや」
行者の言うとおり、帰る男に麻糸を通した針を刺しておいたんだと
次の朝、その麻糸をたぐっていくと五行川の蛇越しの淵へと続き、
なんと、そこの水は血に染まって真っ赤であったと
肝をつぶしたおかみさんは、その様子を行者に話すと
「魔性を払うには、お寺のエノキの木に鷹巣がある
そのタカの玉子を取って飲まれよ」
さて村の若いもんに頼むんだが、なにしろ鷹の巣が
木のてっぺんにあるもんだから、どうしてもとれね~んだと
どうしたらいがんべか、悩んでいたらナ
その晩のこと、あの若い男が入ってきて
「困っていることがあるようじゃな、
最後の仕事になるやもしれんが わしに出来ることなら
なんなりと言ってくだされや」
「タカの玉子が身体にいいって聞いたので、飲んでみたいのです。」
次の朝早く、エノキに登っていく大蛇を村のもんが見つけて
棒でたたき落とそうとしてんだと、
大蛇は くわえた玉子をかばうように、
かま首を左右に振りながらナ
それでも、おかみさんのもとへ玉子を届けるとナ
力尽きてガックリとその場に倒れ、息絶えたと
あとの祟りを恐れて村の人たちは、そば殻を蛇の上に置き、
焼き捨てたんだとサ、
それから土地では、そばはつくらねぐなったんだとサ
お し ま い
ヘビが若い男になって
娘の所に通い詰め
挙げ句に妊娠させてしまうと云うストーリーはいろんな地方にありますね
方言も交えておりますが
敢えて開設は致しません、あしからず
この土地に住んでいても
若い方は方言は知らない人が沢山います
こんな感じで一日が暮れていきます