昨年には怪我もあり厄年を越え、二十五年の競輪生活の中でも一、二くらいの調子落ちを経験したことは以前にも書いた。

 

少し時間が経ってみれば原因があってそうなり、その時の私に必要なことが起こったのだということを思えるが、修行の足らない私はその渦中にあっては全く冷静さを欠いており、大変に苦しい一年、特に後半はそうであったとしか思えないように感じていた。

 

しかし競輪のことについてのみ苦しかっただけで、その他のことについては、例えば、お寺のことや家のこと、友人との関係など充実していて、勉強させてもらえていた。言うなれば競輪のことでさえも、自分の思うように走れないといっても一応なんとかS級(競輪にはS級、A級というランク分けがあり、その級同士で走る)には在籍していられたし、競輪の世界ではない方々からはその年齢ですごいですねと言ってもらえることもあって傍から見れば普通に頑張れている土岐幹多というように見てもらえていたのだろう。

 

 

力を分けていただいた弘法水

 

 

本当に長く感じた令和五年だった。そして苦しみ抜いた末一つのことを思い出した。

 

「迷ったら原点に戻れ」

 

師が私に教えてくれたことだ。忘れていた訳では無いが、こうすれば良くなるのではと考え、いろいろなことを試し、失敗し、また試しを繰り返さずにはいられなかった。そうして一周回って元に戻るということが何回もあってやっとやっぱりかと、先の師の言葉をしっかりと思い出すことができたのだ。

 

人生というものは學ぶために本当にうまくできている。本当にそう思う。もう少し楽に學ばさせてもらえないかということも思わないでもないが。