「あがり症って治りますか?」
これは、私が講師をしていて本当によく聞かれる質問です。
多分、聞かれる率ナンバーワンです。
先に結論から言うと、
「いきなり緊張をゼロにすることは出来ないし、ゼロにする必要がない」
これが、答えです。
なぜ「ゼロにする必要がない」のか?!
それは、あがり症の正体が、体の防衛本能だからです。
新しい局面に飛び出すとき
ここぞという大事な場面を迎えたとき
そこで体が緊張状態になるのは、人間としてごく自然なことです。
人前に立つ、注目を浴びる、失敗できない、評価される
こういう状況になると、いつもと何か違う!大変だ!危険かもしれない!と体が判断します。
すると、心臓がドキドキしたり、手が震えたりする。
つまり、体が「戦うか逃げるか」モードに入っているということです。
なので緊張状態を完全になくそうと思うのはやめた方がいい。
生きるための自然な反応を消すことはできないし、消す必要もないからです。
ただし
目指すのは、頭が真っ白になって動けなくなる「過緊張状態」にならないようにすること。
これなら、十分に可能です。
過剰な緊張にブレーキをかけられれば、体が普段と違う緊張状態になっても、きちんとパフォーマンスできるようになります。
実際、私のところに来る方でも、
最初は「無理です」「人前に立つと終わります」と言っていた人が、緊張感を持ちながらも話せるようになっていきます。
では、過緊張を防ぎ、パフォーマンスを出せる自分になるために、何を変えていけばいいのでしょうか。
過緊張をなくす方法は大きく分けると3つあります。
① 普段の体の状態を整える
実は、人間の脳には「体の反応を見て、今の自分の感情を判断する」性質があります。
「心が怖いと感じるから、心臓がバクバクする」と思われがちですが、心臓がバクバクしているから、脳が『あ、自分は今、恐怖を感じているんだ!危険だ!』と判断してしまう側面もあるのです。
だからこそ、感情をコントロールしようとするのではなく、まずは「体から」整えていく必要があります。
あがり症な方ほど、日常から体が「緊張モード」になってそれが固定されています。
肩にずっと力が入っている。呼吸が浅くなっている。常に「何かに追われている」ような感覚がある。
普段の土台がガチガチだったら、本番でちょっとした刺激が入っただけで、体は一気に過剰反応してしまいます。
逆に、リラックスすべき時にきちんと体がリラックスしていれば、本番になっても体がパニックを起こして過剰に反応することが自然と減っていきます。日常の体が整っていれば、本番での過剰反応は防げるのです。
そのためにも、まずは普段の生活で、
などなどなどなど・・・・
心身を整える習慣を大切にしましょう。日常の体が整うことで、本番で脳が暴走するのを未然に防ぐ。これがすべての土台になります。
② 直前の対処法(過緊張にブレーキをかける)
大事な場面の直前にドキドキが止まらない・・・汗が止まらない・・・どうしよう・・・こんなふうになってしまったら。
何度も言いますが、それは自然なことです。
問題は、その波に引きずられて、脳が「過緊張(大パニック)」まで一気にいってしまうこと。
だから、直前には「物理的に」体に介入して、過剰な興奮にブレーキをかけてあげます。
- 呼吸
- 姿勢
- 意識の方向
- もちろん話す内容や知識などの事前準備
これらを整え、緊張状態を一段落として本番に臨むことで過緊張状態を回避できるようになります。
③ 考え方のブラッシュアップ(認知の歪みに気づく)
最後は、頭の中の「捉え方」のお話です。
過緊張を引き起こす原因の一つには、実は自分の「思考のクセ」にあります。
ここで、2つの質問を自分に投げかけてみてほしいのです。
一つ目は、「その感覚、本当に正しい?」
「声が震えて、みっともないと思われているに違いない」
そう思っていませんか? でも、後から録音や動画をチェックしてみると、案外普通に聞こえるものです。自分の「主観的な恐怖」と、「客観的な事実」はイコールではありません。
二つ目は、「その価値観、本当に必要?」
「1回も噛んではいけない」「全員を満足させなければならない」
そんな完璧主義のルールを自分に課すと、脳は一気にパニック(過緊張)を起こします。
聞き手は、あなたの完璧な演技を見に来たのではありません。
あなたの「話の内容(価値)」を受け取りに来ています。
多少つっかえても、一生懸命伝えようとする姿のほうが、むしろ魅力的に映ることだってあるのです。
緊張は、あなたの味方にできる
新たな局面や、大事な場面で緊張状態になるのは、ごく自然なことです。
緊張しているのは、ただ「緊張する場面」にいる。そう体が判断した。本当に、ただそれだけのことなのです。
そこに「ダメな自分」や「失敗するかも」という余計な意味づけをせず、事実をそのまま受け入れる。
その仕組みを知り、客観的に自分を見つめられた時点で、あなたはすでにあがり症改善への一歩を踏み出しているのです。