セクハラ事件処理に強い圷(あくつ)由美子弁護士の教える受任の際の極意 | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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福岡若手弁護士のブログ「ろぼっと軽ジK」は私です。交通事故・企業法務・借金問題などに取り組んでいます。実名のフェイスブックもあるのでコメントはそちらにお寄せ下さい。

月刊弁護士ドットコム39巻36頁に載っていましたが、非常によい中身でしたので箇条書きにまとめます。 http://junpo.org/lawyer_introduction/62

 

初回相談で受任すべきかどうか見極める。
 被害者が精神を病んでいるケースが多いので、訴訟となると被害者にとって精神的な負担が増えてしまうので、体調面で紛争に耐えれるかを確認する。
 「精神を病んでいますか?」とは聞かずに「眠れていますか?」と尋ねて、睡眠がとれていなければ心療内科のカウンセリングを勧める。長丁場を共に戦うにはそのようなフォローが必要

 

立証の点が壁になるので、相手弁護士なら何を突っ込むか聞いて、事実にぶれがないかもみる。
 被害者本人がセクハラと言っても、よく聞くと交際や同意があると懸念されるケースもある。
 一定の裏付があり裁判にも耐えられる場合でなければ、率直に受任は難しいと伝えて、これ以上の紛争に被害者が翻弄されないようにしてあげる。

労働者側でセクハラ事件を受けると他の事件の2倍以上労力がかかる。自分のキャパを見極めて2件分の労力とカウントする。
 

なるべく訴訟前の解決を目指し、まず相手方と話し合う機会を持つようにしている。書面は詳細を記載し説得的な内容になるよう努めている。
 当初は戦闘的な姿勢だった相手方も、ワンクッション交渉をはさむことで、訴訟という壁を前にどうするか考えてもらう機会を設定したほうがよいし、相手方も唐突な請求に戸惑ってしまう場合もあるので、言い分を聞いて判例を示すことで話し合いで解決できる場合がある。

 

核心的な箇所を聞き取る際は、被害者は最もつらかったことに向き合うので、打ち合わせが終わると被害者がダウンしてしまうこともあると弁護士は理解しておく必要がある。
 

相手方からの反論書面が来る場面では特に注意しなければならない。
 被害者には相手方からの反論書面を直接見せる前に「ないことを言ってくる局面。いつものことです」とショックを和らげる言葉かけをしている。

 

・被害者による明確な拒否行動がない場合でも、海遊館セクハラ事件(最高判2015/2/26)の説示を利用する

和解解決する一歩手前で、被害者は「この内容で終わらせて良いのか」と大変な葛藤を抱える場合がある。

 それまではともに反論のために前進してきたのに、その歩みを止めて戦線から離脱するという決断は、弁護士が想像する以上に被害者にとって重いものであり、被害者の考えが揺れることもざらなので、代理人として被害者に納得してもらう結論に得心してもらうため話し合いを重ねることも大事。

裁判になった場合は単なるワンケースで終わらせないように、マスメディアやSNSなど活用して社会に問題提起することも必要である。

 

・企業研修に招かれた際は「初動がキモである。初動を誤ると炎上する。だから、早い段階でハラスメントの専門家に関与してもらうことが不可欠である」とアドバイスしている。
 弁護士が誤ったアドバイスをしたため、それを信用した会社側が大ごとに巻き込まれることも少なくない。

・会社側からの損害賠償金が少ないのも何とかしたい。裁判所は精神的苦痛をもっと高く評価すべき、現状では企業にとって制裁になっていない。

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