映画《ブタがいた教室》感想 | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 ここ数回、ダークなテーマが続いてしまい、記事を書き続けるモチベーションを保つのも簡単ではなかったのですが、つい昨日、記事を書きはじめるに値するいい映画に出逢いましたぶた



 新任教師が「卒業までの1年間でクラスの皆でブタを飼って、最後に皆で食べようと思います」と言ってブタを小学校6年のクラスにつれてきました学校



 校庭の片隅に小屋をつくり、臭いブタの小屋掃除を交代でして、Pちゃんと名付けて皆で可愛がります恋するぶた



 しかし、当然のごとく食育動物としてでなくペットとしての愛情が皆に湧いて、「Pちゃんを食育センターにつれていくご飯」「Pちゃんを3年生に引きついて育ててもらうぶー」、クラスの議論は完全に2分します。

 映画のサブタイトルは「命の長さは誰が決めるの?」でした。


 《ブタを殺すか,生かし続けるのか。


  自分たちが小学校を卒業する日以降は責任もって面倒見きれないことを理由に、いわば人間の都合でブタを殺すことは許されるのか。
その結論を是認できるならなぜか。


逆に、ブタの面倒を引き継ぐ小学3年生に面倒見てもらうのは、単に辛い選択をしなければならない立場を小学3年生に先送りするだけでないのか。
それは飼った人間の責任ある行動といえるのか》,


子供たちによる議論は、それはそれは素晴らしかったです拍手♪


 

  よく考えると

「ブタの命は人間に食べられるために天から与えられたものなのか。


 Pちゃんを、自分たちがペットのように育ててきたという理由で、他の食育用のブタと違う扱いをすることが正しいのか。


 ブタはブタだから区別してはいけないという考え方のほうが正しいのか」


 

 子供たちに突きつけられたのは大人にも導けない難問です。


 この難問は哲学や道徳という学問の領域にはなく、私には宗教の踏み絵に見えました。



 議論を通して相手に説得されることはあっても、心底納得することはない類の問いであり、であればまさしくそれぞれの人の価値観に迫る踏み絵とおんなじに見えたのです。



 大阪の小学校で実際に取り組まれたことをモデルにつくった映画だそうですが、特に親子で見れば感動する映画であることは請け負います。請け負いますが、現実の学校教育に導入すべきかといえば別次元と思います。


 私は法と教育学会の理事もしている関係で、法律を使って答えが画一的に導けない問いを設定する授業をやったことがあります。



  しかし、答えのない授業というのは、ものすごく子供たちの相手をする大人の技量を必要とする劇物でもあるようです。



 その意味で、妻夫木聡(大河俳優でもありましたね)の演じる教師役は、子供たちを上手に敬するふるまいだったのではないでしょうか


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