ご本人がインタビュアーにこたえるかたちでお話するのがたっぷり1時間半、そして内容がじつにおもしろかったし、想定以上に深かった。ほかの地域でも直接彼女の講演を聴く機会があったらぜひ聞くに値します。
過去のくるめフォーラムでの記念講演の聴衆の男女比は女性が多いのに今回2025では申込者は異例にも男性のほうが多く、しかも募集開始してから3日で予約枠がいっぱいになったそうだ。私にSNSで開催を教えてくれた友人に感謝、もしかしてほかにも法曹でみにきたひとが複数いるのかな。
手元のメモ用紙には十分書ききれなかったし発言内容が私の記憶を経て私なりに加工変容されている部分はあるけれど、印象に残っている彼女の発言を紹介します。なおご本人のインタビュー記事もみつけました、内容がちょっとかぶってるはずです。
●私が朝ドラ脚本に起用されたのは、ベテラン枠(例:中園ミホ・福田靖・岡田恵和など)とチャレンジ枠があるけれども後者のほう。私はドラマ恋せぬふたりで向田邦子賞を2022年受賞し、ドラマちぇりまほもヒットさせてたけど、国民の誰でも知ってるという作品はまだ書いてなかったときに、NHK尾崎裕和プロデューサーから指名された。
●子育てと同時期に脚本を書きあげたのに費やした期間はまる2年間。私自身は現代劇しか書いたことがなく、ケアワークでの搾取と消耗を書きたかったけど、そっちでなくて史実の人物をベースの創作ドラマを提案された。私はとにかく’’つよつよ女子’’を希望していたら、その候補の1人に三淵嘉子さんがいた。
彼女は、日本初の女性弁護士、日本初の女性裁判官、日本初の女性家裁所長(つまり役所の管理職トップ)と幾つも初の肩書がつくのに、この候補のときにはまだWIKIPEDIAすら存在しない、日本の司法史で埋もれた女性だったんですよ。で本の数少ない資料をみると、旧来の朝ドラで望まれるような、明るく男性を支えてともに幸せになる、てキャラじゃないじゃないですか、麻雀が好きだったり。そーゆー’’つよつよ女子’’てとこをドラマに書きたいと思いました。
●主人公のキャストはオーディションと指名があるんですが、朝ドラ虎に翼に関しては指名です、私だけでなくプロデューサーも同意見でした。で伊藤沙莉さんを指名して間違いなかったです。演技うまいし
●NHK朝ドラはサブスクで何週間後にさかのぼって1話から視れるアーカイブ配信がNHKだけのまるごと見放題パックしかないので、1週目や2週目で視聴者に脱落されると、それに加入してない人たちが戻ってくるてことはなくて視聴者が減る一方のしくみなんですよね。だから初っ端からとにかく視聴者を引き付け続けなければならないと気を付けて脚本を書いてました。
●脚本以上に演技してくれてると感じた人は桂場さん、モデルになったリアル裁判官は功罪いろいろ言われてるしドラマでも単純な性格には書かなかったつもりですが、松山ケンイチさんが最初の想定以上に魅力的に演じてくれたので脚本もそれにあわせて修正しました。
もう一つは涼子さまと玉ちゃん。戦前はもと華族のお嬢さまとそのお付きという甚だしい身分差からはじまった2人、どういうふうに終わらせるかいろんなアイデアがあったんだけど、学生時代のピクニックの演出で、玉ちゃんは傘を差しだすだけでなく涼子さまのお弁当箱の蓋まで空けてあげたんですよ、あれは脚本家の私も想定外の演出でした。お弁当の蓋まで自分では空けないてどれだけ依存してるんだと。でそのシーンをテレビで見て「ああこの2人はbosom friend親友の関係を築き上げて、終わらせないといけないな」と思ったんです。
●伊藤沙莉さんの最初の結婚は仲野太賀さんとの契約結婚でしたよね、みなさん戦争で優三が早世したのでそして仲野さんが素敵な役者だったので、優三をいい人扱いしてるんですけど、あれもっとクレーム来てもおかしくない暴君ですよ。彼女の社会的窮地に乗じて自分が彼女のそばにいたいからて契約結婚を承諾させるんですよ優三のエゴを達成しただけ、視聴者にはそれ気づいて欲しかったしSNSでもっとその切り口が話題になってほしかった。
●1週め2週めが視聴者を惹きつける勝負といいましたが、大学に入る前に伊藤沙莉さんが初めて裁判を傍聴した際に、結婚してる女性は無能力者て条文にショックを受けて法律家をめざすことになったて書いたじゃないですか。実際に私も脚本を書くための資料をみてその条文にひどいショックを受けたんですよ、監修の法律家に話聞いたら怒るんでなくてああそういう時代でしたね戦前は家父長制でしたしみたいなアッサリした反応がまた余計に腹立って。
●印象に残ってる台詞は、たとえそのときに負けても判例は未来につながり逆転することがある、て箇所です(尊属殺重罰の場面でしたよね)。いまも社会の中でいろんな賛成反対の価値観が対立していますが、そのときは少数でも時代が経ることで正しさが通用することがあるのです。これは脚本を書く中で判例を調べていく中でみんなの正義が単純に実現しない過程で絶対に書いておきたいと思った箇所でした。
●SNSで物議を醸しだした箇所で、伊藤沙莉さんが小林薫さんの退任に花束を渡すのを拒否した場面がありましたよね。彼女は失礼だ、空気を読まない、恩師に砂をかけるとは、なんて言い草もありました。でも彼女は心を折られてるんです、敵に折られるよりも味方と思ってた人に理解されずに心を折られることてあるし、よりショックデカイんですよ。
そんなとき、恩師だから逆らうなて言い方は間違ってると思います。恩師だからを拡張すれば、親だから先輩だから雇い主だから、心を折られて相手が間違えてると感じたときにもその感情を堪えなさいてことになるんですよ、そしたら正しい方向に社会が変わる胞子はでないんですよ。感謝している人であっても感情を害されたときは正面から向き合って怒っていいんだ、空気を読んで我慢しないといけないなんて発想はとても許容できないと思って、あの場面を書きました。仲いい同士だから激しい議論しちゃいけないてことないはずなんです。
●フェミニストが男女平等で女性の立場や環境をあげるべきと発言すると、男性でも同様に厳しい立場に置かれている人にも目をむけるべきで女性ばかり優遇するのはおかしいという意見がでます。
でもその発言て男性を虐げてよいなんてひとかけらもありません、立場の弱い人が性別にかかわらず底上げされるべきで、女性の立場や環境をあげることで全体が底上げになるはずなんです。男性の救済だけずっと放置されるはずなくて、女性のほうがより劣後がわかりやすいからそちらからはじめるべきそのほうが全体にとって結局はよい事態につながると言ってるだけなんです、そこを理解してほしい。

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