第9冊 うわさの壁
著者は、李清俊さんです。
ーーーーー本の帯よりーーーーー
夜道に突然現れ、助けを求めてきた謎の男。精神病院の医師は男のトラウマの原因を究明できると豪語するが、雑誌編集の「私」は、男の書いた小説から朝鮮戦争の陰惨な記憶を探る――。
独裁政権下の韓国を舞台に人間の本質を追求し描いた李清俊の初期の代表作。
ーーーーー著者のプロフィールよりーーーーー
イ・チョンジュン 1939年、全羅南道長興に生まれる。ソウル大学ドイツ文学科卒。
1965年に短編小説「退院」で『思想界』新人文学賞を受賞して以来、40数年の間長編小説『あなたたちの天国』『低きところに臨みたまえ』『書かれざる自叙伝』『うわさの壁』『自叙伝を書きましょう』『西便制(ソピョンジェ)』『花の散り川は流れ』『失われた言葉を求めて』など多数の作品を出版した。
朝鮮戦争や独裁政権、産業化が進む経済成長の時代に翻弄された人々を見つめつつ、自由を抑圧する社会の構造を象徴的な手法で描いたものが多い。
後期には人間の本質を探究する傾向を強め、実存主義と評された。
2008年、満68歳で肺がんにより死去した。葬儀は文人蔡として行われ、死後に大韓民国金冠文化勲章が授与された。
ーーーーー以上ーーーーー
訳は、吉川凪さんです。
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語り手である雑誌編集長と医師のキム博士が競って謎の男パク・チュンという男の正体を探る過程で徐々に謎が明かされる。
パク・チュンは小説家で、この作品の中に、パク・チュンが書いた小説がいくつか登場する。
その小説から彼の変な行動を考察したりする。
作品の背景は、朝鮮戦争があるが、朝鮮戦争とはどういうものだったのか。
北の人民軍と南の国軍が、それぞれ中国と国連軍の支援を受けながら一進一退を繰り広げる間に膨大な数の避難民が発生し、社会のさまざまな伝統や常識が崩壊した。
北のパルチザンと南の国軍との巨大な綱引きが人々を苦しめる。
どっち側につくかで、運命は決まる。
「光が問い詰める 嘘をつくな お前はどっち側なんだ」(本書帯より)と。
ありがとうございました。