第7冊 すべての、白いものたちの

 

著者は、ハン・ガンさんです。

 

訳は、斎藤真理子さんです。

 

ーーーーーーー本書から 作家の言葉よりーーーーーー

 

私の母国語で白い色を表す言葉に、「ハヤン(まっしろ)」と「ヒン(しろい)」がある。

 

綿あめのようにひたすら清潔な白「ハヤン」とは違い、「ヒン」は、生と死の寂しさをこもごもたたえた色である。

 

私が書きたかったのは「ヒン」についての本だった。

 

その本は、私の母が産んだ最初の赤ん坊の記憶から書き起こされるのではなくてはならないと、

 

ーーーーーー以上ーーーーー

 

この本は「白い(ヒン)」ものについて書かれた本。

 

それも、生と死の寂しさをこもごもたたえた色。

 

色の中で、最も生と死の寂しさをこもごもたたえた色。

 

すべての始まりの色。

 

赤とか、青とか、黄色、緑や「ハヤン」ではなく、

 

「ヒン」

 

「ハヤン」ではなく「ヒン」という言葉の響き。

 

何か、その言葉の響きに感じるものがある。

 

この本のエッセイは、白い紙の上に書かれているが、その紙は全部で5色の白で成り立っている。

 

黄色味かかった白だったり、真っ白だったり。

 

どれも、白であることには間違いない。

 

白だけも、こんなにある。

 

「ヒン」

 

 

ありがとうございました。