Ⅲ 鑑定評価の依頼目的及び依頼者の証券化関係者との関係 | 基準暗記くんのブログ

Ⅲ 鑑定評価の依頼目的及び依頼者の証券化関係者との関係


証券化対象不動産については、関係者が多岐にわたり利害関係が複雑であることも多く、 証券化対象不動産の鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景等並びに依頼者と証券化対象不動産との利害関係に関する次の事項を鑑定評価報告書に記載しなければならない。
(1)依頼者が証券化対象不動産の証券化に係る利害関係者(オリジネーター、アレンジャー、アセットマネジャー、レンダー、エクイティ投資家又は特別目的会社・投資法人・ファンド等をいい、以下「証券化関係者」という。)のいずれであるかの別
(2)依頼者と証券化関係者との資本関係又は取引関係の有無及びこれらの関係を有する場合にあっては、その内容
(3)その他依頼者と証券化関係者との特別な利害関係を有する場合にあっては、その内容
第3節 証券化対象不動産の個別的要因の調査等
Ⅰ 対象不動産の個別的要因の調査等
証券化対象不動産の個別的要因の調査等に当たっては、証券化対象不動産の物的・法的確認を確実かつ詳細に行うため、依頼された証券化対象不動産の鑑定評価のための実地調査について、依頼者(依頼者が指定した者を含む。)の立会いの下、対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査を行うとともに、対象不動産の管理者からの聴聞等により権利関係、公法上の規制、アスベスト等の有害物質、耐震性及び増改築等の履歴等に関し鑑定評価に必要な事項を確認しなければならない。
Ⅱ 実地調査
不動産鑑定士は、実地調査に関し、次の事項を鑑定評価報告書に記載しなければならない。
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(1)実地調査を行った年月日
(2)実地調査を行った不動産鑑定士の氏名
(3)立会人及び対象不動産の管理者の氏名及び職業
(4)実地調査を行った範囲(内覧の有無を含む。)及び実地調査により確認した内容
(5)実地調査の一部を実施することができなかった場合にあっては、その理由
Ⅲ エンジニアリング・レポートの取扱いと不動産鑑定士が行う調査
(1)証券化対象不動産の鑑定評価に当たっては、不動産鑑定士は、依頼者に対し当該鑑定評価に際し必要なエンジニアリング・レポートの提出を求め、その内容を分析・判断した上で、鑑定評価に活用しなければならない。ただし、エンジニアリング・レポートの提出がない場合又はその記載された内容が鑑定評価に活用する資料として不十分であると認められる場合には、エンジニアリング・レポートに代わるものとして不動産鑑定士が調査を行うなど鑑定評価を適切に行うため対応するものとし、対応した内容及びそれが適切であると判断した理由について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。
(2)エンジニアリング・レポートの提出がない場合又はその記載されている内容が不十分である場合として想定される場合を例示すれば、既に鑑定評価が行われたことがある証券化対象不動産の再評価をする場合、証券化対象不動産が更地である場合(建物を取り壊す予定である場合を含む。)等がある。
(3)エンジニアリング・レポートの内容を鑑定評価に活用するか否かの検討に当たっては、その判断及び根拠について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。この場合においては、少なくとも次の表の項目ごとに、それぞれ同表に掲げる内容を鑑定評価報告書に記載しなければならない。この場合における鑑定評価報告書の様式の例は、別表1のとおりとする。なお、(1)ただし書きの場合においても、同様とする。
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項目
内容
エンジニアリング・レポートの基本的属性
・エンジニアリング・レポートの作成者の名称等
・エンジニアリング・レポートの調査が行われた日及び作成された日
エンジニアリング・レポートの入手経緯、対応方針等
・入手先(氏名及び職業等)
・入手した日
・エンジニアリング・レポートの作成者からの説明の有無等
・入手したエンジニアリング・レポートについて鑑定評価を行う上での対応方針等
鑑定評価に必要となる専門性の高い個別的要因に関する調査
次に掲げる専門性の高い個別的要因に関する調査について、エンジニアリング・レポートを活用するか又は不動産鑑定士の調査を実施(不動産鑑定士が他の専門家へ調査を依頼する場合を含む。)するかの別
・公法上及び私法上の規制、制約等(法令遵守状況調査を含む。)
・修繕計画
・再調達価格
・有害な物質(アスベスト等)に係る建物環境
・土壌汚染
・地震リスク
・耐震性
・地下埋設物
鑑定評価に必要となる専門性の高い個別的要因に関する調査についての不動産鑑定士の判断
専門性の高い個別的要因に関する調査に関する対応について、エンジニアリング・レポートの記載内容を活用した場合、不動産鑑定士の調査で対応した場合等の内容、根拠等
(4)エンジニアリング・レポートについては、不動産証券化市場の環境の変化に対応してその内容の改善・充実が図られていくことにかんがみ、エンジニアリング・レポートを作成する者との密接な連携を図りつつ、常に自らのエンジニアリング・レポートに関する知識・理解を深めるための研鑽に努めなければならない。