住民訴訟にもとづく公金違法支出損害賠償請求事件の破棄判決である。

争点は、B市のB市職員に対する損害賠償請求権をB市議会が放棄議決したことの効力である。

 

原審は、本件放棄議決は地方自治法の趣旨等に照らして、違法無効であるとした。

 

本判決は、「普通地方公共団体がその債権の放棄をするに当たって,その適否の実体的判断は,住民による直接の選挙を通じて選出された議員により構成される普通地方公共団体の議決機関である議会の裁量権に基本的に委ねられているものというべきであるところ,住民訴訟の対象とされている損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を放棄する旨の議決がされた場合には,個々の事案ごとに,当該請求権の発生原因である財務会計行為等の性質,内容,原因,経緯及び影響,当該議決の趣旨及び経緯,当該請求権の放棄又は行使の影響,住民訴訟の係属の有無及び経緯,事後の状況その他の諸般の事情を総合考慮して,これを放棄することが普通地方公共団体の民主的かつ実効的な行政運営の確保を旨とする地方自治法の趣旨等に照らして不合理であって上記の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められるときは,その議決は違法となり,当該放棄は無効となるものと解するのが相当である。そして,財務会計行為等の性質,内容等については,その違法事由の性格や当該職員又は公金の支出等を受けた者の帰責性等が考慮の対象とされるべきものと解される。」という規範を述べた上で、

本件事案の諸事情を検討して、⇒「以上の諸般の事情を総合考慮すれば,市が本件各請求権を放棄することが普通地方公共団体の民主的かつ実効的な行政運営の確保を旨とする地方自治法の趣旨等に照らして不合理であるとは認め難いというべきであり,本件議決が市議会の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるということはできない。そして,本件議決を受けて,上告人がA及び参加人らに対し,本件各請求権を放棄する旨をそれぞれ通知したことにより,その放棄は有効にされ,同請求権は消滅したものというべきである。」とした。

 

この判決とは関係ないけど、

 

予備試験や司法試験での論文式試験では、よく法的三段論法ができていないと指摘されるよね。

 

三段論法ならば、規範で立てた文言が、基本的には、あてはめの結語で繰り返されるはずだ。

この判決の赤字と青字の一致部分、見て!

最高裁でさえ、このルールをきちんと守っているんだもん。

この判決文は、「規範⇒あてはめ⇒結語」の型を覚える参考になるね。