しばらく(月9とかの)ドラマシリーズを続けるつもりでいましたが、いきなり脱線してみる。
今回は、想い出シリーズであります。
そして、“年上の美人さんシリーズ”(いつそんなシリーズができたんだろう)の第二弾である。

 高校を半年で辞めたあたいであったが、その一週間後には喫茶店でアルバイトを始めていた。
おそらく(当時では)、新潟で最も栄えていた古町七番町にある、そしてそのど真ん中に位置する“カミーノ"というデパートの中の一階にある“アートコーヒー”という名の喫茶店で、あたいは主にウェイターとして働いていたのである。
そして、おなじく一階で、“アートコーヒー”から少し離れたところに、“エスペランサ”っつーシャレオツな女性用の靴屋さんがありました。

ほんで、その“エスペランサ”に、ミナガワさんというヒトがいた。
ときどき“アートコーヒー”にランチとかお茶しに来ていた。
いかにもな、
キレイな憧れのお姉さん、
的な存在であった。歳はおそらく20才くらいかと思われた。
ミナガワさんが来ると、ぼくは、いつも、
少々ドギマギしたり、よっしゃ来た!と心の中でガッツポーズをしたりしていた。
ちょいとキツめな雰囲気もあったし、誰から見ても美人さん、ってタイプでもないように思えていたのだが、
ミナガワさんが正月に着物姿で営業してたときに、
おなじ“アートコーヒー”の同僚で、おんなじ歳のタミヤヨーコが、“エスペランサ”前でミナガワさんを発見した直後に、
「ミナガワさん、いつも85点だけど、今日は98点!」
とコーフンしながら言っていたので、
うんうん、キミもミナガワさんをいいオンナだと思ってるのか。よしよし。
と、かなり安心した。

そして、
二月か三月のある日、
ミナガワさんが、“アートコーヒー”に来たとき、
なんでだか、ぼくに、
「ちょっとそこに座りなよ」
と、自分が座る前の席を指さして、そう言った。
挨拶とかちょっとした会話しか交わしたことがなかったのに、いったいなんだろ?
ぼくは、緊張とかヨロコビとかを感じつつも、
だいぶ戸惑いながら、
ミナガワさんの正面に座った。


…続く。