前回のブログに頂いたかなやんからのコメントに、
真夜中の大運動会、
といったフレーズがあり、それ見てふいに思い出したんす。
35、6年前の、
夏の想い出。

 当時あたいは二十代前半、江戸川区にある雀荘勤めで、寮暮らしであった。
お客や店のスタッフなど周りはほとんどうんと年上でありましたが、
ある時期、ひとつ下とみっつ下のオトコたちがいて、あたいを含めその三人組はけっこう仲良くしてた。みんないっときいっしょに寮に住んでいたのだ。

そして、夏のある日、
突然、
ビールかけやりたい!!
と発作を起こしたあたいは、
いっこ下の“隊長”(隊長はあたいのこと“2号”と呼んでいた。逆さまのようだがなんでそうなったかはもう忘れた)、それからみっつ下の“カネコ”に、
「今日、楽しいことしない?」
と、そそのかし、
仕事終わり、けっこう大量にビールを買い込み、みんなで部屋に戻った。

…ビールかけとは、
そうです、
プロ野球で、優勝したときに、チームメイトや監督・コーチ・スタッフら大勢が、ビールかけあって、ドンチャン騒ぎする、
アレであります。
急に、そして無性に、それがやりたくなったのだ。

和室(フローリングの洋室じゃないよ。畳の部屋だよ)の床にビールを並べると、
カネコが、
「ねぇ、ナニすんの?」
 とニヤニヤしながら聞いてきた。

その質問をあたいはとりあえず無視して、
おもむろに缶ビールをつかみ、
乱暴にそれをおもいっきり振って、
まずはカネコをめがけ、フタを開けた。
「プシュー!!」
勢いよくビールはカネコの顔面に命中し、カネコは、
「うわー!」
と叫んだ。
すかさずあたいは次の標的、隊長に、まだ威勢よく出続けてるビールをぶっかけた。
「この!2号!ナニすんだー!!」

ふたりのリアクションに、あたいは、
「ワッハッハ!!」
と爆笑し、
二本目の缶ビールを手にした。
隊長もカネコも、
「こんにゃろー!」
と言いながら、それぞれ我先にと缶ビールを取った。

そのときたぶん、午後十時半くらい。

真夏の、
真夜中の、
大運動会の、
開演である。

続く。