看てらす12月号

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看護学教育モデル・コア・カリキュラム公表 文部科学省

文部科学省は、看護系大学が看護師養成教育において共通して取り組むべき内容を抽出し、各大学のカリキュラム作成の参考として示した「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」を公表した。カリキュラムの「モデル」を策定するのは初めてで、看護系人材を養成する大学の教育の充実や質の向上などにつなげる狙いがあり、医療機関で行われる臨地実習についても「学修目標」を明確化した。

臨地実習に関しては、「看護の知識・技術を統合し、実践へ適用する能力を育成する教育方法の1つ」と明記。チーム医療で必要な対人関係の能力、倫理観を養うことに加え、「看護専門職としての自己の在り方を省察する能力」を身に付けるよう促している。このカリキュラムに基づいた教育が2019年度から各大学で行われる予定となっている。

介護医療院の方向性固まる

 厚生労働省は介護療養型医療施設(介護療養病床)の転換先として20184月に創設される介護医療院の施設基準案を示した。医療処置が必要な人や重篤な身体疾患を持つ人を受け入れる「類型Ⅰ」では、入居者と医師の比率が48:1、看護職員は6:1、介護職員は5:1、薬剤師は150:1。状態が比較的安定した患者を受け入れる「類型Ⅱ」では、入居者と医師の比率が100:1、看護職員と介護職員は6:1、薬剤師は300:1となる。

介護医療院は、「日常的な医学管理が必要な重介護者の受入れ」や「看取り・ターミナル」等の機能と「生活施設」としての機能を兼ね備えた新しい介護保険施設で、介護療養病床などの転換先として期待されている。

なお、全国に約6万床ある介護療養病床は、病床であるが故に、医療の必要性が高くない患者を長期入院させることの是非や、医療保険が適用される療養病床(医療療養病床)との役割分担が課題となり20183月末で廃止が決まっているが、介護医療院への転換期間として6年間設定されており、事実上は20243月末まで存続可能となっている。

梅毒感染者、44年ぶりに5000人超す

 国立感染症研究所のまとめによると、性感染症の梅毒に感染した人が、今年1月から1119日までの累計で5053人に上ったことが分かった。国の伝染病統計などによると、感染者数が年間5000人を超えるのは1973年以来44年ぶりという。感染者数は、東京都で1561人、大阪府で703人、愛知県で310人など、都市部で多くなっているほか、直近3か月における人口100万人当たりの届け出数は、西日本で高い傾向がみられるという。梅毒は梅毒トレポネーマという細菌が原因で起きる感染症で、抗菌薬で早期に治療をすれば完治するが、放置して進行すると脳や心臓に大きな合併症を引き起こすほか、失明に至るケースもあるという。また妊娠中に感染すると、胎盤を通じて胎児に感染する「先天梅毒」になり、赤ちゃんが死亡することもあり、国や専門家らは、検査による早期発見や不特定多数との性行為を避けるなど、予防を呼びかけている。

性別適合手術 医療保険適用へ

 厚生労働省は、心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人を対象にした「性別適合手術」について、来年度から新たに公的医療保険の適用対象に含める方針を固め、中央社会保険医療協議会(厚生労働大臣の諮問機関)に提案し、大筋で了承された。

 この手術は現在、公的保険の対象外のため多額の費用がかかることから手術をためらう人も多いが、保険が適用されれば、最大3割の自己負担額で済むようになり、また高額療養費制度によって、自己負担額に上限も設けられる。

 性同一性障害の人は精神保健福祉法上、精神障害と位置付けられている。性別変更を認める2004年施行の特例法は「20歳以上」「結婚していない」などに加え、子宮や精巣などを摘出する性別適合手術を受けることを変更の要件としている。特例法によって性別を変更した人は2016年末までに約6900人に及んでいる。

総合周産期母子医療センターの6割が産科医不足

 日本産婦人科医会はリスクの高い出産に対応する総合周産期母子医療センターに指定されている全107施設のうち、約6割の施設で労働基準法を順守する上で必要な産婦人科医を確保できていない、とする初の推計をまとめた。

労働基準法では、労働基準監督署の許可があれば、労働時間の規制外となる宿直や日直を認めているが、厚生労働省の通知で、1人につき宿直は週1回、日直は月1回が限度としている。

 総合周産期母子医療センターは原則24時間、複数の産婦人科医の勤務が要件となっており、日本産婦人科医会では通知と要件に従った場合の宿直・日直体制には16人が必要と試算。今年6月、人員体制を調査したところ、107施設中66施設(62)で産婦人科の常勤医が16人未満だったことが判明。非常勤医を加えても56施設(52)16人に達していなかった。

 実際は16人以上いても高齢や妊娠・育児中などで宿直、日直を免除される医師もおり、宿直や休日の日直の限度回数を超えた勤務が常態化している恐れがあるという。

ペットの耐性菌を調査 人への感染防止で

 農林水産省が、ペットの犬や猫の体内に耐性菌がいるかどうかを確かめる調査を始めたことが分かった。耐性菌をめぐっては、世界保健機関(WHO)が各国に対策を求めているが、ペットの状況を調査するのは珍しく、先進的な取り組みという。人の近くで飼われるペットの耐性菌も人に広がる恐れがあり、農林水産省は「人とペットの両方が対応していかなければならない」として、対策に力を入れている。

 耐性菌は、抗生物質などの抗菌薬に耐性を持った細菌で、薬が効かないため病院内などで感染が広がり、体力が落ちた高齢者などが死亡することもある。抗菌薬を使いすぎたり、服用を途中でやめたりすることで起きるとされる。

 抗菌薬は人だけでなく動物にも使われており、発育促進の目的で家畜に使われることもある。政府は昨年4月、耐性菌対策をまとめた国の行動計画を決定。主に治療として抗菌薬が使われるペットについても、薬剤耐性菌の情報を集めることを盛り込んでいた。

 調査は病気で動物病院を訪れた犬や猫の尿などの検体を提供してもらい、耐性菌がいるかどうかを調べる予定で、今年度の結果を見て、今後の調査の頻度や内容を検討するという。

紹介状が無い患者の負担増 対象病院拡大へ

厚生労働省は、大病院が高度な治療に特化できるよう、症状の軽い患者が直接、大病院を受診するのを減らすため、診療所などの紹介状の無い患者が、病床数が「500床以上」の大病院を受診した場合、初診で5000円以上、再診では2500円以上の窓口負担を徴収することを昨年度から義務づけている。その結果、紹介状が無い患者の受診が減り、一定の効果が確認されている。一方、「500床以上」の大病院が年々、減っていることから、来年度にも対象を「400床以上」の病院に広げる見直し案をまとめ、今後、調整を進める方針ということが分かった。

 

 

高齢者本人が望めば蘇生中止 提言

 近年増加し続けている介護施設からの高齢者の救急搬送依頼であるが、救急隊員が駆けつけると、家族らから「本人は蘇生を望んでいない」と伝えられるなど現場対応が課題となっていることを受け、総務省消防庁から委託された研究班が、このたび持病や老衰で終末期にある介護施設などの高齢入所者が心肺停止した場合の対応手順案をまとめ、公表した。それによると、本人の事前意思と医師の指示がセットで確認できた場合は蘇生処置の中止を認めており、研究班は高齢者の蘇生処置を巡る法整備をにらんだ議論の高まりを期待しているという。

研究班は、北九州市立八幡病院の伊藤重彦・救命救急センター長を代表に、高齢化率の高い同市と山口県下関市の医師や介護施設代表者、弁護士ら約30人で構成。昨年夏から審議を重ねてきた。

手順案では、持病や老衰による心肺停止が前提となっており、救急車の要請、救急搬送などの段階に分け、入所者の蘇生を希望しない意思が分かる事前指示書と、担当医の蘇生中止指示を合わせて確認できた段階で救急隊員は心肺蘇生を中止できるとしている。

また、担当医は直近の入所者の状態などから医学的見地で蘇生中止を判断する。施設に常駐していないため、中止指示は職員らが電話などで確認する。

また、医師の到着が心肺停止の数時間から半日後であっても「到着まで蘇生は行わず、救急車も呼ばずに待つように」などの指示が事前に医師から施設に出ている場合は指示に従ってもいいと提言。指示の効力は「心肺停止前の23日以内」との考えを示している。

伊藤センター長は「尊厳を保ちながら死にたいという本人の気持ちが置き去りにされていないか。本人、家族、医療関係者ら誰もが満足のいく終末期医療を考える必要がある」と話している。

研究班は既に全国の救命救急センターなど計約500か所に手順案を配布。消防庁の担当者は「国民的なコンセンサスが必要だが、研究成果は今後の政策の参考にしたい」としている。

 このような介護施設などの高齢入所者を対象に、救急搬送の適正化を促す提言が出た背景には、蘇生を不要とする本人の意思や医師の指示をどう取り扱うか、施設や救急隊など現場で定まった指針がない現状がある。

介護施設では、看取りの方針が施設ごとに異なり、担当医が施設内での看取りを指示していても「夜中に入所者の心肺が停止し、誰にも連絡がつかなければ救急車を呼ぶ」という職員もいるなど対応が様々だ。

実際に、救急隊も地域の実情に合わせた活動手順をとっており、広島、長崎、大分県などでは、担当医の指示が得られたら蘇生処置を中止してもよいとしているが、救急隊には消防法に基づき傷病者を処置しながら病院搬送する義務があり、蘇生処置を希望しない事例を巡って現場で対応に困るケースがあるという。

 認知症などで判断能力のない入所者への対応は慎重であるべきこと、容体急変やけがの場合は仮に意思表示があっても治療や処置が必要なことは言うまでもないが、救急隊にとって蘇生処置の中止が不法行為にならないための法の整備が求められる。

2005年には心肺停止状態で搬送されてきた90歳の男性の人工呼吸器を医師が外して死亡させたとして、2006年には末期がん患者の呼吸器が医師2人に取り外されたとして、それぞれ書類送検されるという事案も発生している。少子高齢化が進む現在、尊厳死の問題も含め、終末期医療のルール作りが急務であることを改めて感じさせられる。