売上は増えても、理念には合っているのか

コンビニに晩ごはんを買いに行ったところ、思いがけない事件に直面しました。

いつもなら何冊も残っているはずの『週刊少年ジャンプ』が、1冊もありません。

毎週、夜にコンビニへ立ち寄って買っていますが、10冊くらい残っていることも珍しくありませんでした。

ところが、この日は雑誌コーナーの一角がスッカラカン。

50年近くジャンプを買い続けてきて、ついに「買いたくても買えない日」が来るとは思いませんでした。

 

ジャンプ、異例の完売続出 読者悲鳴 朝から「ワンピース」カード目当ての行列も…高額転売も相次ぐ(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

原因は限定カード

売り切れの原因は、『ONE PIECE』の限定カードが付録になっていたことです。

今回の号は、通常より50万部多く発行されたそうです。

出版社側も大きな需要を見込んで、相当数を増刷したのでしょう。

 

それでも各地で売り切れが続き、インターネット上では高値で転売される事態になりました。

漫画を読みたい人だけではなく、カードを集めたい人や転売目的の人まで、一斉に購入した結果だと思われます。

私の選択肢は、次のようになりました。

 

  1. 電子版を買う
  2. これを機に購読をやめる
  3. カードだけ抜かれた中古品を探す
  4. 転売されたものを高値で買う
  5. ほかのコンビニを回る

どれも、あまり気が進みません。

私は紙のジャンプを毎週買い、ページをめくって読むこと自体を楽しみにしてきました。

読みたいのは漫画であって、限定カードではありません。

 

それなのに、付録を目的とする人に商品が渡り、長年の読者が買えなくなる。

なんとも複雑な気持ちになります。

 

数字だけを見れば、成功なのか

未来会計コンサルタントとして、数字の面から考えてみます。

仮に50万部を追加し、1冊340円で販売したとすれば、定価ベースの売上増加は約1億7,000万円です。

もちろん、ここから印刷費や流通コスト、書店やコンビニなどへのマージンが差し引かれます。

それでも、追加した50万部がほぼ売れたのなら、短期的な企画としては大成功でしょう。

話題性も十分です。

 

普段ジャンプを買わない人がコンビニへ足を運び、SNSで拡散され、『ONE PIECE』という作品の人気も改めて示されました。

数字だけを見れば、

「長年の読者が一人や二人離れたとしても、50万部売れるなら、やるべきだ」

という判断になるのかもしれません。

 

私自身の過去の顧客生涯価値も、乱暴に計算すると、

50年×年間50冊×1冊300円=約75万円

となります。

 

しかも年齢的に、今後50年買い続けることはできません。

目先の売上だけを比べれば、新たに50万部売る方が圧倒的に大きい。

未来会計的には、正しい判断にも見えます。

顧客生涯価値は、購入額だけなのか

ただし、顧客生涯価値は、これまで払った購入代金だけではありません。

長年の読者は、漫画を読み、単行本を買い、作品のことを家族や友人に話してきました。

子どもにジャンプを読ませたり、映画を見たり、関連商品を買ったりした人も多いでしょう。

 

一人の読者が出版社や作品にもたらす価値は、雑誌代だけでは測れません。

何十年も習慣として買い続けてきた読者が、

「もう買わなくてもいいか」

と思ってしまうこと。

 

これは、すぐには数字に表れない損失です。

毎週必ず買う顧客を失っても、今月の売上は増えている。

こうしたとき、売上だけを見ていると、企画は大成功に見えます。

しかし、その裏側でブランドへの信頼や愛着が少しずつ減っている可能性があります。

集英社の理念に照らすとどうか

集英社は、社是として、

「創意・自信・協調」

を掲げています。

 

また、企業として「より多くの人に良質なコンテンツを届ける」ことを目指しています。

今回の限定カード企画は、創意に富んだ企画だったと思います。

 

大きな話題を生み、多くの人を動かし、『ONE PIECE』というコンテンツの力を改めて示しました。

しかし、その一方で、毎週漫画を楽しみにしてきた読者に、良質なコンテンツが届きませんでした。

付録を欲しい人には商品が届き、漫画を読みたい人には届かない。

これは、理念に照らして本当に望ましい状態だったのでしょうか。

 

私なりの評価は、

「企画としては成功、顧客体験としては失敗」

です。

 

問題は、カードを付けたことではない

私は、限定カードを付録にすること自体が悪いとは思いません。

問題は、カードを欲しい人と、漫画を読みたい人が、同じ商品を奪い合う設計になっていたことです。

例えば、

  • カード付きの特別版
  • カードなしの通常版

の2種類を用意する方法もあったでしょう。

あるいは、定期購読者や長期購読者が確実に購入できる仕組みがあってもよかったと思います。

売り切れたあと、雑誌だけを追加販売する方法も考えられます。

大切なのは、売れる企画をやめることではありません。

売れる企画を実施しながら、これまで支えてきた顧客を置き去りにしないことです。

 

理念は、迷ったときの判断基準

経営理念や価値観は、会社案内に掲載するための飾りではありません。

利益が出る選択肢と、顧客を大切にする選択肢が衝突したときに、どちらを選ぶのか。

 

その判断基準になるのが理念です。

経営計画を作る際にも、

「売上が増えるか」

「利益が残るか」

 

だけではなく、

「その判断は、自社の理念や価値観に合っているか」

を考える必要があります。

 

今回のジャンプ33号は、売上や話題性という面では、大きな成果を上げたでしょう。

ただし、長年買い続けてきた読者が買えず、購読をやめようかと考える状況まで含めて、本当に成功だったのか。

これは、数字だけでは判断できません。

 

まさか、ジャンプを1冊買えなかったことから、経営理念について考えることになるとは思いませんでした。

さて、次号からどうするか。

今のところ購読をやめる決心まではついていません。

50年続いた習慣は、限定カード1枚よりも、少しだけ強いようです。(^^;

 

#未来会計コンサルタント #経営計画コンサルタント #CXO #価値観

 

塚越寛さんに教わったこと ― 私のブログをたどる追悼

「かんてんぱぱ」で知られる伊那食品工業の最高顧問・塚越寛さんが、2026年6月29日、老衰のため伊那市のご自宅で亡くなりました。88歳でした。7月2日に親族のみで密葬を終え、お別れの会は9月4日、かんてんぱぱガーデン内のかんてんぱぱホールで開かれるとのことです。

 

塚越さんの「年輪経営」――急がず、毎年少しずつでも確実に成長し、社員の幸せをこそ目的とする――という考え方に、私はこのブログを通じて長く学んできました。けれども伊那で私がいただいたものは、塚越さんや伊那食品工業さんから直接学んだことだけではありません。伊那経営フォーラムをはじめとする学びの場で、志の高い方々と出会い、その一人ひとりからも多くを教わりました。伊那は、私の交流関係を大きく広げ、人生と人間的成長に深い影響を与えてくれた場所でもあったのです。

 

訃報にあたり、これまで自分が塚越さん、そして伊那食品工業さんについて書いてきた記事を振り返り、そこで何を受け取ってきたのかを、あらためて確かめたいと思います。古い記事から順にまとめました。読み返すと、十数年にわたって同じ人・同じ会社・同じ場から、少しずつ違う角度で学び続けてきたことがわかります。


2006年

フォーラム分科会研修三回目 ・・・ らしい研修会になりました。(2006年10月13日)
ネッツトヨタ南国、伊那食品工業、未来工業、リッツ・カールトンなど、尊敬する会社を題材にした研修会の記録。良い会社の共通点を仲間と語り合っています。

100キロウォークの応援に行ってきました。(2006年10月29日)
100キロウォークの応援記。差し入れの「飲む寒天」の中身が伊那食品工業さんの寒天だったというエピソードに、身近なところで支えられていることを感じています。

負けてられない。(2006年11月19日)
塚越さんの生き方や伊那食品の姿勢に触れ、自分も負けていられないと奮い立った一篇。学びを自分の行動へと引き寄せようとする、初期の記録です。

熱い想いを明確に伝えられるか(2006年12月26日)
理念や想いを、いかに相手に届く形で伝えるか。塚越さんの伝え方を手がかりに、「伝える」という行為そのものを問い直しています。

2007年

シナブロ 閑話休題(2007年3月21日)
好きな言葉をめぐる話題のなかで、伊那食品工業さんの「木の年輪のように」という生き方に触れた一篇。年輪の比喩が心に残っていることがうかがえます。

どこで働くか? より 誰と働くか?(2007年5月15日)
「日本を元気にするセミナー」で大久保寛司さんが伊那食品工業を例にした話を受け、場所ではなく「誰と働くか」の大切さを考えています。

激動の日々(2007年7月9日)
慌ただしい日々のなかで、塚越さんの言葉や伊那食品の話題に触れた記録。忙しさの中でも軸を見失わない大切さがにじみます。

文明は退化しない(2007年9月27日)
「文明は退化しないから活用しなさい」という塚越さんの言葉をめぐる一篇。道具や技術を素直に活かす姿勢に共感しています。

社員のことをどれだけ大切に思えるか(2007年10月3日)
経営の根っこにある「社員を大切に思う」という一点。塚越さんの社員第一の哲学を、自分ごととして受け止めています。

経験は奪い去れない(2007年10月12日)
どんな境遇でも、積み重ねた経験だけは奪われない――塚越さんの半生と重なる気づきを綴っています。

2008年

金が欲しければ、遠きをはかれ!(2008年2月21日)
二宮尊徳の「遠きをはかる者は富む」に通じる、塚越さんの長期の視点。目先ではなく将来を見据える経営観に触れています。

伝える力(2008年5月15日)
理念を組織に浸透させる「伝える力」について。塚越さんの語り方から、繰り返し伝えることの意味を学んでいます。

50周年記念ガーデンパーティー&伊那フォーラム(2008年6月9日)
伊那フォーラムに参加し、伊那食品工業の50周年記念ガーデンパーティーにも入場できたという記録。節目の祝いの場に立ち会えた喜びが綴られています。

伊那フォーラム3(2008年6月11日)
伊那経営フォーラムの参加記録。塚越さんの講演で語られた、組織が原点からそれていくのをリーダーが巻き戻すという話などをメモしています。

ヒケツは写真家の視点 伊那フォーラム4(2008年6月13日)
写真好きの塚越さんの「プロの写真家の目を持つ」という視点。物事をよく観る力が経営にも通じることを受け取っています。

文明のたすけ(2008年6月19日)
「文明は退化しないから活用しなさい」という塚越さんの言葉に、あらためて共感した一篇。道具を素直に使う軽やかさを綴っています。

伊那谷へふたたび(2008年7月10日)
岡崎商工会議所主催の伊那食品工業の見学記。塚越会長の同級生との縁など、現地で得た手ざわりのある学びが記されています。

自分を抱きしめる(2008年9月10日)
「日本を元気にするセミナー」で塚越寛さんが大勢の前で語った話題に触れつつ、自分自身を受け入れることについて綴っています。

青全交2日目(2008年9月12日)
研修・大会の記録。伊那食品の塚越会長の「プロの写真家の目を持つ」という視点を引きながら、観る力について考えています。

第2回名古屋楽心会(2008年10月1日)
やすらぎ・思いやり・親切を人に与えるという学びの記録。伊那食品工業の社員さんはそれが自然にできている、と受け止めています。

一回だけのおまじない(2008年10月22日)
横田会長や四国管財の中澤社長らと並び、伊那食品工業・塚越会長のメッセージに触れた記録。尊敬する経営者たちの言葉を束ねています。

精度の高い普通を目指す。(2008年11月7日)
ネッツトヨタ南国の「凡事一流」を思い出しながら、伊那食品や川越胃腸病院に共通する、当たり前を高い精度でやり切る姿勢について考えています。

何かおかしい(2008年12月1日)
世の中の風潮への違和感を綴るなかで、塚越さんの価値観を一つの物差しにしています。

いのち輝く(2008年12月2日)
「奇跡の経営」として伊那食品工業と並び称される川越胃腸病院の望月院長の著書を紹介。何に影響を受け何を学ぶかを問う一篇です。

2009年

正月は(2009年1月6日)
「学び方を学ぶ」教育や、競争ではない在り方に触れたとき、真っ先に伊那食品工業さんを思い出した、という一篇。同社が思考の基準になっています。

空気が違う。(2009年1月14日)
伊那食品工業や川越胃腸病院など、訪れると空気が違うと感じる会社について。表紙の言葉だけでも学びになる、と書き留めています。

リストラなしの年輪経営(2009年3月12日)
塚越さんの代表的著書『リストラなしの「年輪経営」』をめぐる一篇。年輪経営の核心に正面から向き合っています。

目白押し(2009年3月19日)
予定が詰まった日々の記録のなかで、塚越さん・伊那食品に関わる話題に触れています。

血が騒ぐ(2009年4月28日)
学びや出会いへの高揚を綴った一篇。塚越さんの世界に触れる楽しみが伝わります。

伊那経営フォーラム2009(2009年6月28日)
伊那経営フォーラム2009の参加記録。塚越さんの講演から受け取ったものを書き留めています。

2010年

「いいもの」(2010年5月3日)
伊那食品工業が新入社員教育で教育勅語を扱っていると聞いた話をきっかけに、戦争教育と混同されがちだが本来大切なことが書かれている、と考察しています。

伊那経営フォーラムの報告(2010年6月14日)
2010年フォーラムの導入。塚越会長の「野心」など、当日の内容の予告とともに、学びの記録を始めています。

伊那経営フォーラム2010 その2(2010年6月15日)
第2部・塚越寛会長の単独講演「人・まちが幸せを感じる経営」の記録。経営の結論は「利他」という言葉を書き留めています。

伊那経営フォーラム2010 その3(2010年6月16日)
講演の続き。組織はどんなときも遠心力でそれていく、それをリーダーが原点へ巻き戻す――という塚越さんの組織観をメモしています。

伊那経営フォーラム2010 その4(2010年6月17日)
薄い層を何層も重ねてこそ強くなるという話と、塚越会長のヒノキや屋久杉の年輪の話を結びつけ、年輪経営の比喩を深掘りしています。

伊那経営フォーラム2010 その5(2010年6月18日)
シリーズの締め。塚越会長が怒鳴ったときの根底にあるもの――認めているからこそ叱れる、という愛情のある指導観を受け取っています。

夏はこれ。(2010年7月16日)
夏におすすめの寒天の話題。伊那食品工業さんに心身ともにお世話になっている、という一言に、暮らしと学びの両面での縁がにじみます。

「ずくをだし、みやましく」について(2010年8月11日)
信州の言葉「ずくをだし、みやましく」をスローガンにと本気で考えた一篇。それを当たり前に体現している伊那食品工業さんを引き合いに出しています。

世界夢ケーキ宣言(2010年9月3日)
塚越寛氏が推薦する書籍を紹介した一篇。塚越さんの推す本を通じて、その価値観の広がりに触れています。

第12回あいち経営フォーラム2(2010年11月10日)
あいち経営フォーラムの記録。伊那食品にまつわる話題に触れつつ、良い会社の姿を自分の会社にどう灯すかを考えています。

前提は何?(2010年12月21日)
いい会社が共通してもっている「前提」を問う一篇。J&Jの信条や、伊那食品工業の「人として当たり前のこと」を例に、土台となる価値観を見つめ直しています。

2011年

元気玉を一発かましたい(2011年3月24日)
塚越会長と鍵山相談役の対談などに触れながら、自分も周囲を元気づけたいという思いを綴っています。

西水美恵子さんのお話(2011年5月31日)
西水美恵子さんの講演記録。途中で塚越会長も登場したといい、その場の学びを書き留めています。

西水美恵子さんのお話2(2011年6月1日)
講演記録の続き。西水さんの印象を、大久保寛司さんの言う「伊那食品を代表とするいい会社」の空気に重ねて綴っています。

西水美恵子さんのお話3(2011年6月2日)
シリーズの3回目。焼きつくような感情を与える原体験として、塚越会長の歩みを重ねて振り返っています。

お勧め本(2011年9月22日)
塚越さん・伊那食品に関わる書籍を含むおすすめ本の紹介。学びの入り口として本を薦めています。

2012年

モノを作りすぎ。(2012年3月29日)
「今の世の中はモノを作りすぎ」という塚越会長の講演での言葉を起点に、作りすぎない・売りすぎない姿勢について考えています。

幸せになる生き方、働き方(2012年4月21日)
塚越さんの著書や、受勲記念に作られたものへの期待を綴った一篇。生き方と働き方を地続きで捉えています。

「愛を込めて祈りを込めて心を込めて」の科学性(2012年6月27日)
心を込めることの意味を、伊那食品の姿勢と重ねて考えた一篇。理念が現場の質を変えることに触れています。

映像本 いい会社をつくりましょう。買いましょう。(2012年9月4日)
文屋の映像本『いい会社をつくりましょう』の紹介。「いままで一番いい話ができた」という塚越さんご本人の言葉を伝えています。

本質に迫るインタビュー(2012年9月16日)
「絶対に」と添えて薦めた一篇。塚越会長の100分のインタビューと社員インタビューの素晴らしさを強く推しています。

理念が独自性を生む(2012年11月13日)
理念こそが他にはない独自性を生む、という視点。伊那食品を例に、ぶれない理念の力を綴っています。

2016年

使命感・価値観・軸を確立すればするほど、ストレスから解放される(2016年3月20日)
戦わずして勝つ場所を決めるという戦略論のなかで、伊那食の塚越会長の話を引きながら、確固たる軸がもたらす自由について考えています。

2019年

一枚岩になるまで知らしめる(2019年2月19日)
理念を組織に徹底して伝え、一枚岩になるまで知らしめることのパワーについて。「塚越さんと文屋さんに感謝です」と結んだ一篇です。

 


振り返って

こうして並べてみると、私が塚越さんから受け取ってきたものの輪郭が見えてきます。急がず確実に育つ「年輪」の考え方。売上や規模ではなく、社員が前より幸せになったと感じられることこそが成長だという定義。理念は繰り返し伝えてこそ組織に根を張るということ。そして、名を求めず、静かに「いい会社」をつくり続ける誠実さ。

 

そしてもう一つ、忘れてはならない恵みがあります。伊那という場が、私に多くの出会いをくれたことです。伊那経営フォーラムなどに足を運ぶたび、意識の高い方々と知り合い、その方々からも学び、語り合いました。塚越さんと伊那食品工業さんという中心があったからこそ、そこに人が集い、私の交流関係は大きく広がっていきました。塚越さんから直接いただいた学びと、その場に集う人々からいただいた学び――その両方が、いまの私の人間的な土台をつくってくれたのだと思います。

 

塚越さんの言葉は、これらの記事のなかにいまも生きています。あらためて読み返しながら、教わったことを自分の日々の仕事と生き方のなかで、少しずつでも実らせていきたいと思います。

塚越寛さんのご冥福を心よりお祈りいたします。


※記事の要約は各投稿の抜粋にもとづくものです。日付・内容の正確なところは、各リンク先の本文をご確認ください。

 

パソコンには、学びのメモがPDFにして大量に蓄積されています、大切な財産です。

写真も...

これは、2010年6月の伊那経営フォーラムに行った際の1コマです 若い(^^;

 

 

「数字に泳がされていた園長先生」が、

  力強い経営者になるまで

 ― 20年間、隣で見届けた一通の手紙


 

 「計算書類の数字がみんな私の方を見て、冷やかし笑いをしているようで、どっちを向いて泳いでいいのか――」 

 

これは先日、ある保育園の園長先生からいただいた礼状の一節です。 20年間、隣で伴走してきた方からのこの言葉に、私は思わず胸が熱くなりました。 

 

 

◆「保育一筋」だった先生が、ある日突然「経営者」になった◆

 

 このたび、私が長くサポートしてきた社会福祉法人の保育園が、評議員会をもって正式に園長交代を迎えました。 

 

退任された園長先生は、もともと保育の現場一筋。

 

子どもたちと向き合うことにかけてはプロ中のプロでしたが、ある日突然「園長」の指名を受け、これまで縁のなかった「経営」の世界に足を踏み入れることになったのです。

 

 保育園の運営は、世間で思われているよりもずっと「ガチ」です。

 

この園も例外ではありませんでした。

 

・ 月々の園長から理事長への報告 

 

・理事会への定期報告、決算報告

 

・評議員会への決算報告 

 

などなど、数字と向き合う場面が、次から次へとやってきます。 

 

 

◆シロートには到底こなせない、社会福祉法人ならではの難しさ ◆

 

 

社会福祉法人の会計は、一般企業とはまったく異なる独特なルールで動いています。

 

先生が直面したのは、たとえばこんな課題でした。

 

社会福祉法人会計という、専門家でも身構える独特の会計 

 

月次の数字の把握と、予算枠を意識した日々の運営

 

・ 年度の途中や年度末に、決算の着地を見据えた予算の再編成、お金の「使い方・貯め方」の意思決定

 

・ 同時並行で、新年度予算の策定――園の収益構造を見直し、収入の見込みと支出の方針を一から組み立てる

 

これらは、本来であれば専門のスタッフがチームで担うような仕事です。

 

それを、保育のプロであっても会計はまったくの初心者だった先生が、

 

一人で背負うことになりました。

 

 おそらく私や理事の方々の知らないところで、何度も泣きそうになりながら――いえ、泣きながら頑張っておられたのだと思います。 

 

 

◆「力強い味方だと思えるようになりました」◆

 

私がしたことは、特別なことではありません。

 

ただ、先生のペースに合わせて、

 

ていねいに、根気強く、数字の意味を一緒に読み解いていっただけです。

 

 先生はその過程を、こんなふうに振り返ってくださいました。

 

 

『20年という長い間、

 

成長の遅い私に辛抱強くおつき合いいただき、

 

本当にありがとうございました。

 

 会計の「か」の字も理解できなかった私ですが、

 

何とかヨチヨチ歩きくらいはできるようになった気がします。

 

(中略)

 

つもていねいに教えて下さって、

 

決算書のファイルが力強い味方だと思えるようになりました。 』

 

「数字に泳がされていた」状態から、「決算書が力強い味方」だと思えるところまで。

 

この変化こそ、私が本当に届けたかったものでした。 

 

 

◆数字は、未来をつくるための「地図」◆

 

 数年前、この園では事業構造そのものを変える大きな投資に踏み切りました。

 

決して小さくない決断でしたが、

 

それが見事に実を結び、現在では大きな黒字を確保するに至っています。 

 

会計は、過去を記録するためだけのものではありません。

 

「これからどんな未来をつくりたいか」を決め、そこへ向かうための地図です。

 

私が「未来会計」「経営計画」を大切にしているのは、まさにそのためです。

 

 数字が読めるようになると、経営の意思決定が変わります。

 

意思決定が変わると、会社や園の未来が変わります。

 

先生はその手応えを、誰よりも実感してくださったのだと思います。

 

 

 ◆そして、次の園長先生へ◆ 

 

先生は手紙の最後に

 

、新しい園長先生への引き継ぎについても触れ、

 

こう綴ってくださいました。

 

「保育士は数字と縁のない世界に生きているので、お手数をおかけすることも多々あると思いますが、どうぞよろしくお願いします」と。

 

 ご安心ください。

 

私の役割は、まさにそこにあります。 

 

数字が苦手でも、経営が初めてでも大丈夫です。

 

隣で伴走し、ヨチヨチ歩きが力強い一歩になるまで、ていねいにサポートしていく

――それが私の仕事です。

 

次の園長先生にも、同じように寄り添い、こ

 

の園の明るい未来づくりに貢献していきたいと、

 

改めて心に誓いました。

 

 数字が苦手で、どこから手をつけていいかわからない」

 

 「経営の意思決定に、自信が持てない」 

 

そんな思いを抱えている経営者の方、ぜひ一度お話を聞かせてください。

 

あなたの隣で、一緒に未来への地図を描いていきます。

 

 

 

 

#未来会計 #経営計画 #意思決定 #お客様の声 #CXO