ドアのノックが聞こえたと同時に美桜が立ち上がった。そして入ってきた社長にお辞儀をする。
美桜「は、はじめまして。今田美桜と申します。」
涼介「はじめまして。大丈夫。緊張しなくていいですよ。お座りください。」
美桜「はい… ありがとうございます。」
席に座った後も少し俯き加減でいる美桜。 ごめんな…。
涼介「改めて… 社長の山田涼介です。今回はわざわざお越しいただきありがとうございます。」
美桜「よろしくお願いします。この度はお会いする機会を作っていただき本当にありがとうございます。これ…。」
そう言うと美桜は持ってきていた紙袋の中から菓子折りを出した。
涼介「若いのにしっかりしたお嬢さんですね。 ありがとうございます。」
廉「紫耀にはもったいない子だよなあ。」
海人「そうだよね。でも紫耀にはしっかりした奥さんの方がいいかもよ。」
廉「確かに😁」 廉と海人が笑いながら言う。
勇太「廉。 海人。ダメだよ!」
ジンが少し怒った顔で話す。
海人「ごめんなさい。」
廉「ごめん…。」
2人も気を遣って場を和ませようと言ってくれたんだけど… ごめんなあ。
涼介「さて… これからの話は聞いたかな?]
美桜「はい。 私が大学卒業したら結婚の方向で。と…‘」
涼介「大学は卒業してほしい。それは俺の願い。 卒業してから徐々に一緒に住めるよう動き出すから。きちんと籍も入れてもらう。マスコミに発表するのも時期を考えて発表する。 発表してしばらくは別々の場所で暮らしてもらうことになる。」
美桜「はい。 覚悟はできています。」
涼介「紫耀もそれでいいな。」
紫耀「はい…。」
涼介「ただ… 結婚発表してから仕事面でどうなるか本当に分からない。 こればっかりはその時次第だ。 いろいろな覚悟をしておいてほしい。」
美桜「はい…。」 社長の言葉で顔つきが変わった美桜。その時点で2人で最終的な覚悟を決めた…
脱退しなければいけないという覚悟も…
業界を辞めなければいけないかもしれない。という覚悟も…
それでも美桜と一緒にいたかった。
美桜「はあ〜。 緊張したあ〜。」
話し合いが終わり事務所が用意したホテルまでマネージャーが送り届ける車の中でやっといつもの美桜に戻った。
紫耀「ごめんな。 あんな想いさせて。」
美桜「紫耀が悪い訳じゃないじゃん。 みんな優しかったね。特に廉くん。一生懸命空気を明るくしようとしてくれて。」
紫耀「そうだな。」
美桜「社長さんもすごく優しい人だった。 すごく気を遣ってくださっているのが分かったよ。 良い会社だね。」
紫耀「ああ。本当に… ありがたいよ。」
メンバーには迷惑をかけたくない。
大切な4人だから。
脱退の文字が自分の中で大きくなり始めていた…