1週間後の夜… 全員の仕事が終わってから社長に時間をとってもらい全員で社長室に行った。
「どうした。全員揃って。」
「社長。お時間とらせてすいません。」岸くんが頭を下げる。それに続いて全員頭を下げた。
優太「実は紫耀から大切な話があって。」
涼介「うん…。」
紫耀「社長… 俺。結婚したい人がいます。」
社長はしばらく黙っていた。メンバーもみんな黙っていた。
10分ほど経っただろうか…
涼介「で? 仕事はどうするんだ? 辞めるのか?」
優太「社長。紫耀は俺たちにとっても必要な人間です! こいつがいなかったら…。辞めさせることだけは!」
海人「そうです! 紫耀がいなくなるなんて絶対嫌です! 」
涼介「誰も辞めさせる。って言ってねえだろ。紫耀の気持ちはどうなんだ。って聞いてんの。 紫耀。お前はどうしたいんだ。」
紫耀「… できればこのまま続けたい。 メンバーと離れたくない。」
大吾「でも結婚したら平野さんをはじめメンバー全員が色々言われることになります。」マネージャーが言う。
涼介「そうだな。確実にFanは減るだろうしCMの契約違反のこともある。今の仕事も無くなるだろうし誹謗中傷も出てくる。
マスコミにも追われるだろうし。そうなると奥さんや家族にも迷惑をかけることになる。」
紫耀「………。」
涼介「そこまで考えて出した結論か?」
紫耀」………」
涼介「スターのお前が結婚すると言うことは奥さんにもお前の家族にも奥さんの家族にもマスコミやFanが押し寄せて迷惑をかけることになる。もちろんメンバーにもだ。」
廉「俺たちは平気です。」真剣な表情で言う。
そこまで考えてなかったわけじゃないけど… 改めてこうやって社長に口に出されると何も言えなくなってしまった。
結婚することで俺の仕事のことだけじゃなくメンバーや社長やマネージャーや俺の家族。美桜。美桜の家族。美桜の大学にも迷惑をかけることになる。
涼介「彼女はいくつだ。」
紫耀「20歳です。
涼介「大学生か?」
紫耀「はい…。」
涼介「紫耀。 いますぐ結婚したいのか? 時が経ってからじゃダメなのか? 」
紫耀「…。」
涼介「彼女が大学卒業してから。とか… その頃には年齢的にも仕事的にも少しは落ち着くだろうし。」
勇太「そうだね。あと2、3年経ってからいろんなことを準備してからでも遅くはないかもね。」
涼介「まずは彼女をきちんと卒業させてやれ。それが先だ。」
紫耀「はい…。
あれから3ヶ月…
社長に改めて言われたこと。 そのあとにメンバーや事務所の人と話し合いを重ねて… その合間に美桜や俺の家族。美桜の家族とも何度も何度も話し合い、美桜が大学卒業したら結婚する。ということになった。
美桜とは1ヶ月に1回は必ず会える日を作って。
3ヶ月経った今日。やっと美桜をメンバーと社長に紹介する。 事務所の人に東京駅から美桜を迎えに行ってもらい…。
まずはメンバーとの対面。
ジンと廉とは少しだけ美桜も電話で話したことがあったけど実際に会うのは初めてだ。
美桜「あ〜 緊張する〜。」 事務所の会議室で2人で待っているとあまり聞かない美桜の大きな声にびっくりする。
紫耀「大丈夫だよ。みんな優しいから。」 緊張している美桜の表情がとても可愛くてクスッと笑ってしまう。
美桜「ジンくんと廉くんは少し話したことがあるけどさ。岸くんなんか怖そうだし。」
紫耀「大丈夫だよ。岸くんも優しい人だから。」
美桜「社長さんになんて言われるだろう。 “うちの紫耀を騙しやがって💢“とか言われるかなあ。」
思わず笑ってしまう。 可愛いなあ。
そんなことを話しているとコンコンコン! とドアをノックする音が聞こえる。 きた!!!
扉が開いて入ってきたのはメンバー4人。 すかさず美桜が立ち上がる。
美桜「はじめまして! 今田美桜と申します。」 美桜が4人に向かって深くお辞儀をする。
「はじめまして。」 「はじめまして。」 メンバーが口々に美桜に言い頭を下げる。
廉「俺とジンは電話で話したことあるもんな。」
美桜「はい! あの時はありがとうございました。」
廉「そんな硬くならんでええよ。俺らのことは知ってるんやんな。」
美桜「はい! 少しは勉強しました。」
廉「勉強?」
美桜「はい…。 私、芸能界には疎くて💦 紫耀がグループに入ってるってのは知ってたんですけどメンバーの皆さんのことは詳しくは知らなくて…。 ごめんなさい。」
廉「いちいち謝らんでええって。 美桜ちゃん。気使いすぎ。」 緊張感のある雰囲気を少しでも明るくしようと廉が頑張ってくれている。
海人「高橋海人です。 よろしくお願いします。」
美桜「はじめまして。 今田美桜です。よろしくお願いします。」
優太「岸優太です。 お願いします。」
美桜「はじめまして。今田美桜です。よろしくお願いします。」深々と頭を下げる美桜。よっぽど岸くんのこと怖がってんな。。
廉「美桜ちゃん。岸さんの時めっちゃビビりながら言うてるやん。」廉がいつもの笑い方で話す。
美桜「あ、ごめんなさい。」
勇太「こら! 廉! 茶化すな!」
優太「あ、ごめんね。美桜ちゃん。怖かった?」
美桜「いや💦 ごめんなさい。そういうわけじゃ💦」
海人「とにかくみんな座ろうよ。」 海人に言われみんな座る。 最後に俺の隣にちょこんと座る美桜。
美桜の緊張感が伝わってくる。
優太「みんな、紫耀との結婚。喜んでるからね。」ジンが優しく美桜に話しかける。
美桜「… 大丈夫なんですか?」 不安そうに美桜が聞く。
海人「大丈夫だよ。 みんなそれぞれ覚悟はできた。」笑顔で海人が言う。
美桜「紫耀は? 紫耀は辞めさせられるんですか? 」
勇太「そうならないように俺たちも努力する。紫耀は俺たちにとっても絶対的に必要な奴だから。」
美桜「岸さん… ごめんなさい。」
勇太「また謝る。 もう謝るのナシね。美桜ちゃん。美桜ちゃんが悪い訳じゃないじゃん。」
美桜「はい…。 ありがとうございます。」
コンコンコン。とノックされ社長が入ってきた…。