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今日は「抽象概念理解の困難」のところで、当事者さんに起こりがちな、「ルールの単純化」ついて、考えを深めてみたいと思います。

最初にお話しておきますが、
今日取り上げる「抽象概念理解の困難」は、
少し想像しにくいかも知れません。

しかし、このテーマは、
今日の記事だけにはとどまらず、その枝葉のところで、
引き続き今後も取り上げていきますので、
想像や実感が出来にくかったとしても、
そのまま読み進めていただけたらと思います。

【定型発達の思考の世界】
さて、僕はある当事者さんから、
次のように言われたことがあります。
「僕らにとって、見えないものは無いものと同じなんですよ」と。

ここでいう「目に見えないもの」とは、
「言語化できない様相や状況」のことです。

定型発達者にとっては、
思考はいつも論理的であるとは限らず、
ほとんどの場面では、
無意識の領域で考えが練られ、
なんとなく感じたままに、
判断を下したり、行動に移すことが出来る
ようです。

これは、定型発達が、「抽象的なもの」を、
「あいまいなままに扱うことが出来る」
からだと、
僕は分析しています。

抽象的な概念は、何も言語化せずとも、
そのまま「もや~」としたままの印象であっても、
そのままに扱って判断材料に加えることが出来るし、
時には、無意識領域においたままで、
行動に移すことすら出来るようなのです。

定型発達者が、自分の行動や判断を言語化するのは、
その思考過程や決定理由を他者と共有したり、
周囲に周知するための、実行機能のようです。
つまり、「後付け」であることが多いと感じるのです。

最初にまず、何となく決めた判断があり、
そこを後から、理論武装している様相があるのです。

(ここまでの説明がわかりにくかったらごめんなさい。
 余りうまく表現できていなかったり、
 それこそ抽象的であったり、概念的な言葉遣いで、
 理解や実感が難しいかもしれませんね。
 でも、申し訳ないのですが、今の僕には、
 こんな説明で精一杯なのです。)

【当事者さんたちが見ている世界】
反して、当事者さんたちが見ている世界です。
冒頭の言葉である、
「見えないものは無いものと同じ」というのは、
何を表現しているのでしょう。

彼らにとっては、
「抽象的な概念」が見えないようなのです。

「普通は」とか、「みんなそうしてる」などの曖昧な規範もそうですし、組織風土や集団的な気風なども含まれます。また、その場の状況も、言語化しにくい概念のひとつです。年齢相応の行動なども、そうですね。

だから、「ちゃんとしなさい」などと指示をされても、
具体的に何をすればよいのか
わからなかったりするようです。
「ちゃんとする」というのが、その場において、
具体的にイメージし難いのでしょうね。

否定的な指示をやめましょうというのも同じようです。
「廊下を走らない」と言われても、
適切な行動が出来ないことがあると言われます。
「廊下はゆっくりあるきましょう」
と伝えてあげたいわけです。

成人になると、こんな簡単なことには
つまづかなくなりますが、
「場の空気を読んだり」
「集団のルールを感じる」ことに、
やはり困難は残るようなのです。

【ルールの単純化が、社会適応を阻む傾向】
こうした当事者さん特有の思考が嵩じてくると、
そこにゼロ百思考が重なって、
「ルールの単純化」という
思考・行動のパターンが現れることがあるようです


社会は複雑ですから、
大人になって自立するということは、
多様なことを考慮に入れ、
バランスのとれた判断が出来ることを求められます。

しかし、当事者さんには、
こうした配慮や、気配り目配りが、
心理不安や疲れを呼ぶ、
余計なものに映ることがあるようなのです。

つまり、「ややこしい状況やルールを
考慮から排除したがる傾向」
として現れるようです。
彼らには感じ取りにくい「暗黙のルール」などを、
いっそ無いものとして、
行動してしまうことがあるようなのです。

僕が感じるところでは、
精神的に不安定さが増せば増すほど、
当事者さんの心理は、
「見えないものはないもの」へと
傾倒していくように感じます。

心理不安から逃れるように、
物事を単純化して、あえて考慮に入れないことで、
自分の精神安定を保とうとしているようにも感じるのです。


「見えないものはないもの」という傾向は、
当事者さんにとっては、
社会とのあつれきやトラブルという形で、
返ってきてしまいがちです。
支援者さんにとっては、
当事者さんへの支援の部分で、
互いに分かり合えない要因になりがちで、
時には、互いの感情のもつれにまで
発展する元となりやすく、
非常に厄介なものであったりします。


僕自身も、このことについては、
当事者の人たちが感じる感性のままに、
彼らの思うところをまずはやってもらうのが良いのか、
ある程度、社会の常識的なところを、
うまく伝えていくことが良いのか、
その時々で、迷うところは多いです。

僕は思ったことを、中々、
腹の中において置けないことが多いので、
結局、やんわりとでも相手に伝えて、
互いに意見交換して納得して、
協力していきたい思いを抱きがちですが、
あるいは、時には、僕のそんな関わりも、
「面倒な指示」と受け取られている場合も
あるかもしれません。

「抽象概念理解の困難」がもたらす、
「見えないものはないもの」という心理は、
当事者さんと、その支援者の間で、
互いの思いのすれ違いを生みがちな、
難しい問題であると、今の僕は感じているのです。





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