こんにちは、今日こそ動画テストについての結果発表です。
(この記事は、こちらからの続き です)
【回答ご披露~】
「何か」・・・というのは、黒と白のチームがバスケに興じる中、
動画の中盤あたりに、突如、熊のきぐるみが現れます。
そして、両腕をひらひら踊ったかと思ったら、
最後に、下手な(ごめんなさい!)ムーンウォークで、退場していきます。
どうみても、この動画のシーンの中で、明らかに異質な存在の彼です。
しかし、恐らく大半の人の目には、彼の姿は中々映りません。
これが、この動画で気付くべき存在でした。
なぜ、彼が見えてこないか・・・については、この後掘り下げてきますね。
まだ、気付かなかった方は、どうぞ、もう一度動画をどうぞ!(こちらから→ )
黒服チームのパスに注目してみると、比較的見つけやすいと思います。
気付いていた方は、その時、きっとニヤリ!としましたか?
とっても場違いな彼の存在に!
【視知覚認知から見た動画分析】
この動画から、人間には眼球の網膜に映った画像でも、
それを脳が認知しないと見えてこないという事がわかると思います。
そのところを、実際に体験していただきたいと、記事にしました。
不思議なもので・・・・・、
一度判ってしまえば、
再度、いくら白い服装のパスに集中しようとも、
彼の出現にすぐに気が付きます。
しかし、判らないうちは、何度見ても、
とても異様な彼の存在ですら、決して、見えては来ません。
【視知覚認知の仕組み】
さて、この動画は、人間の視知覚認知の盲点を突いているようですね。
「視覚注意」「図地弁別」を逆手に取っているのだと考えます。
「視覚注意」というのは、視野に入った映像の中で、
注意を向けるべき対象にスポットをあてる機能。
聴覚で言うと、うるさい駅の構内でも、
電話からの話が聞き取れるのと同じ原理ですね。
「図地弁別」は、対象物と背景を区別する能力ですね。
どちらも、効率よい視覚認知の為に重要な機能です。
たとえば、「視覚注意」が不全であると、目に入るものすべてに注意がいくことになり、情報の多さに脳があふれてしまうことになります。いわゆる「見えすぎて、見えない」という自閉症の視覚過敏の状態ですね。
また、「図地弁別」に不全があると、本を見ても、どの文字や絵に焦点を当てればよいのかわからないとか、目を使う作業の途中で混乱して、対象をうまく追えないようなことになってしまいます。
【着ぐるみ君が見えない訳】
今回、この機能を逆手・・・・というのは、比較的背景から浮き出やすい白い服装の人たちを目で追いかけさせ、黒チームの動きを背景化しているのでしょう。それで、あれだけ色々と動き回る「熊のきぐるみ」の動作がまったく目に入らないのでしょうね。黒っぽいモノの動作を「背景化」させ、白い服装の人たちに「視覚注意」をむけさせることで、トリックを仕掛けているわけです。
【認知の欠けの疑似体験】
よく発達障害の当事者には「認知の欠け」が有るといわれます。
見えたのに見えていない。
聞こえているのに、耳に入っていない、という状態ですね。
「視野に入ったはずなのに・・・・、
説明したはずなのに・・・・
でも、本人は判っていない」
発達障害の当事者さんに関わると、
こうしたことを体験されることがあると思います。
しかし、今回この動画をみた定型発達の方は、
自分にもそうしたことが起こることを体感していただけたと思います。
気が付いてみれば、あれほど異様な「着ぐるみ君」です。
でも、気付かない時は何回動画を見ても、「見えなかった」ですよね。
今回、「着ぐるみ君」が見えない仕組みと、
発達障害の当事者さんの「認知の欠け」とでは、
恐らく、それが起こる原因や仕組みは違っているのだと思います。
ただ、「擬似的に体験する」というところでは、
感じていただけるのではないかと思うのです。
おそらく、視知覚認知が未熟な幼児期や小学校低学年の発達障害児には、こうしたことが日常的に起こっているのだと考えます。今回の動画を持って、その一端を感じていただけたら、幸いです。
【体験者の声から】
さて、このテスト、前述のA~Dさんをはじめ、
何人かの定型発達と発達障害の方々にやっていただきました。
今回のテストに関しては、両者に余り差はなかったですね。
いずれであっても、すぐには見つけられなかったようで、
10回くらいかかった人も多かったようですね。
あえて言えば、Dさんが10回近く見ても見つけられずに、
ギブアップされたことでしょうか。
こんな動画を見続けるのは、とても疲れるのだそうです。
このあたり、独特の感じがあるのかもしれません。
Bさんからは、まだ報告が届いていませんので、
届いた際、何か取り上げるようなものがあれば、
また記事にさせていただこうと思います。
C君の反応を少し書きましょうか。
8歳の小学生であるC君は1回目に見た際、動画の半ばで、
自信満々に「わかった~。わかった~。」と叫びました。
ちょうど、着ぐるみが登場したあたりなので、
「えっ~、この年齢の発達障害の子だと、
視覚注意が働きにくくて、いきなり熊が見えるのかなl?」と思いました。
しかし、彼の回答はあてはずれでした。
「グレーの服でバスケをやっている人が登場した!」というのです。
確かにもう一度見ると、1人の登場人物の黒い服が、
光の反射の関係からか、グレーっぽく見えました。
彼は「白と黒に、グレーが混じったのは変!」と強く主張していました。
ぼくは、これを子どもらしいかわいらしさと感じましたが、どうでしょう?
ユニークな視点とも見れなくもないですが、どうなんでしょうね!?
【読者の皆様へお願い】
もし、「自分はすぐに見つけられた!」と言う方がいらっしゃったら、ご自身の視知覚認知の自己分析と共に、メールでも、コメントでもいただけるとありがたいです。また、掘り下げて、考察させていただきます。
この視知覚認知については、いずれまた、掘り下げてみたいテーマです。読字の困難や板書きの苦手などの学習障害との関連性などを取り上げる予定です。楽しみにしていただけたらと思います。
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