さて、9回に渡っておおくりしてきました、認知テストシリーズですが、いよいよ今回を持って最終回となりました。


この記事は、視知覚認知について、定型と発達障害を比較した連載記事です

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この連載を通して一番書きたかったこと。

お伝えしたかったことは、最初はひとつでした。


高機能広汎性発達障害は、

一見、見た目に変わらないように見えても、

実はこんなに違っていて、本人はとても困っている!

・・・・ということです。


でも、「対人関係が苦手」「こだわりがある」「コミュニケーションに問題がある」などといっても、世間一般では「そんなの誰にでもあるでしょう」という反応となってしまいます。障害に対する周知は浅く、知識も理解も無いので無理はないのですが、この切り口でないところを語ってみたいと、今僕がご提示できるテーマとして、「視知覚認知」を選びました。


そんなところを感じていただけたら、嬉しいところです。



さて、最後に、これまでのところをまとめてみたいと思います。



定型発達と発達障害の視知覚認知の違いのところでは・・・


・定型発達と発達障害の認知には違いがあり、結果として同じ答えを導けたとしても、そのスピードは大きく差があり、また発達障害のばあいは、本人の意識的な注意集中や、あるいは過集中を避けるような心がけでもって行われていること。


・だから、一見同じ事が出来るように見えていても、それは発達特性を自分なりの工夫でもって対処しているのであり、定型発達とは違う苦労や、集中力を高めるなかで、出来ているのであって、「なんだ、出来るんだ」で済ましてはいけないこと。またこのように誤解されることがなにより当事者を苦しめていること。


また社会においてはスピードを要求されることが多く、適応に苦労していること。



発達障害の視知覚認知の特徴としては・・・


発達障害には、視知覚認知において、細部にとらわれる「こだわり」や視点の切り替えがスムーズに行かない特性があり、どうしても認知に時間がかかってしまうこと。


・その結果、同じ事をしても、定型の認知はオートマティックで効率もよく、さほど疲れがないような行為でも、発達障害にとっては集中力を要し、思考を駆使する為、とても疲れることが多いこと。



発達障害の視知覚認知の成長については・・・


幼児から小学校低学年にかけての発達障害児であっても、周囲の関わりや配慮によって、認知能力が向上する事は十分可能であること。


・そして、発達障害児は、10歳前後から、こうした認知能力が飛躍的に伸びる特性があること。


・大人の発達障害は、経験を積み、熟慮を重ね、一見定型発達と変わらないような認知ができるまでに、成長発達する事が出来ること。


また、Dさんの事例から・・・・


・40~50歳代の方の中に、子どもの頃発達障害の因子らしきものがあったにも関わらず、社会自立も果たし、対人コミュニケーションもそれなりに出来る人たちがいること。


・それは、当時の世間やご近所のあたたかい受容性や包容力の中で、自然と配慮され、支援されて、肯定的に育ってきたことによる可能性があること。



そこから・・・・


発達障害と言うのは、二次障害を起こさず、周囲からのあたたかいかかわりで、肯定的に育てられると、伸び伸びと成長発達する可能性が十分にあるのであり、障害であるが故に、困難な特性はなくなりはしないが、それを克服する方法を身につけていくことができる事


・また10歳くらいまでの子どもの脳には、困難の元となる欠損を、神経バイパスによりカバーする可能性があり、こうして自然に身に着いた回路は、発達障害の生涯を豊かなものにすること。


・しかし、二次障害があったり、10歳を過ぎてしまうと、障害特性を克服するような成長が出来ないかと言うと、決してそうではなく、大人の発達障害なりの方法で、十分に成長発達していけること。


・・・・といった事かと考えます。



そして、発達障害の当事者にとっては、

こうした障害特性を理解し、

あたたかい関わりで配慮してくれる支援者が必要であり、

こうした彼等の障害の実態を知り、

その苦労や困難を感じる視点が大切であること


・・・・を最後に申し述べて、この連載記事の最後としたいと思います。


最後に・・・・


正直、これほどのボリュームになるとは思わず書き始めたのですが、途中、頂いたメールや知り合いとのやり取りの中で、記事自体が膨らんでいって、当初の2倍ほどにもなりました。また、沢山の方に読んでいただき、日本ブログ村の人気記事ランキングにもリストアップしていただくこととなりました。正直、これほどの反響を頂いて、驚きの気持ちで一杯ですが、大変励みになりますし、また、この記事を書くことを通じて、何人もの方からメールやコメントを頂き、刺激にもなりましたし、僕自身でも考察が深まって、自分の中でも何か新しいものが生まれたような思いで居ます。本当にありがとうございました。


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