さて、今回はBさんの認知分析です。今日は、Bさんご自身にその時の様子を振り返っていただきましたので、まずはご覧頂きたいと思います。


(この記事は、こちらを筆頭 とする連載ものです。)

【視知覚認知テストからみる発達障害のこだわりの実例  目次】

(1)出題

(2)正解ご披露!

(3)Aさんの認知(発達障害のこだわりの原因)

(4)C君の認知(認知のゆがみの実情)

(5) C君の認知(10歳頃の成長の不思議)

(6) Bさんの認知(凡化とは異なる精査の仕方)

(7) Bさんの認知(成長し続ける認知能力)


一応、Bさんのご回答です。

クリスマスの朝、

サンタさんから届けられたプレゼントを開けて、

「パパ、ママ、見て見て!

 こんなものをもらったよ!」

興奮して(喜んで)親に見せている女の子の図。



所要時間:用心深く絵とにらめっこして、数十秒(本人弁


さて、この結論を出すところで、Bさんがされた認知は次の様なプロセスだったそうです。(今回は、この様子を実感していただく為にも、ご本人の許可を得て、ノーカットで掲載することにします)

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まず、パッと写真を見て、
【A】
「色」に目が行く。
 「全体的に淡く西洋風の色合いが好み!明るいピンクがアクセントでおしゃれな風景!」という感想をまず抱く。
   ↓
で次の瞬間、「いやいや、ちゃんと集中して、この絵の状況を掴まなきゃ」と、じっくり絵を精査し始める。★子供のように、自分の好きなことを考えたりやろうとしたりする傾向にあり、その場の社会的な本題を意識しにくい性質!?)
   ↓
【B】真ん中の女の子をとらえる。
・何をしているのか? →何か物を掲げて、訴えているようだが、まだ意味が分からない(→周りを見てから判断しよう、と)。
・表情から、その「感情」を読み取ろうとする(それが一番、 “肝”だと感じる。どういう絵か理解するための……)→物に「喜んでいる」様子だ(パッと見でそう感じたが、これから周りを見てその確証を得なければならない、とも)
   ↓
【C】周りの部屋の様子をみる。→「クリスマス」のようだ

・赤い靴下や、クリスマスリースなどから(雪だるまは目に入ったか微妙……)。
・床に散らばったほかのおもちゃなどは、気にしなかった。
   ↓
【D】女の子がなにか「物」をうれしそうに掲げていて、もう一方の手には赤い靴下が握 られている。→「クリスマスの“朝”」だとわかる。
・ちょうど赤い靴下からプレゼントを出したところのようだ →ということは、これはクリスマスの朝だ! (通常、クリスマスイブの夜にサンタさんがプレゼントを赤い靴下に入れてくれているものだから、そのプレゼントを開けるのは翌朝だ)
・ちなみに、その状況(ちょうど赤い靴下からプレゼントを出したところ)がわからなければ、これが朝とは確信できなかった。だって女の子も親もパジャマを着てはいるが、それはもしかしたら寝る直前の「夜」かもしれないし、と。
・女の子はサンタさんが入れてくれたと信じているんだな。だからこそ、両親に(本当はそれを入れてくれた本人とは知らず)それを自慢げにうれしげに見せているわけだな。うん、やっぱりこれは「女の子は喜んでいる」図で間違いないな、と第一印象(喜んでいる表情だ)の確証を掴む。しかもプレゼントを開けたばかりで、それが気に入るものだったから、うれしさで「興奮」しているぞ、その勢いで親にブツを見せているんだな、と。
・しかし、女の子が喜んでいる「物」が何かはわからなかった。何かなー?とは気になったが。なにかカラフルなおもちゃかな!?と。それを突き止めることは、この場ではさほど重要ではないと感じつつ、一応少し眺めてみずにはいられない。何か分かったほうが自分で気が済むから(自己満足という自覚もありつつ、やめられない)。軽い「とらわれ」現象(笑)。
でも最近は諦めることも多少は身についてきて、今回も、何かわからないままでも、さほど執着せず次に移れた
   ↓
【E】親らしき人のパジャマ姿の膝が目につく。→親(おそらく父親だろう(?))の存在を確認。
・ちらっと見える膝から、体格がよさそうなのと膝の開き具合がなんとなく男性っぽく、またネグリジェではなくパジャマだし、八割がた父親だろうと(もしかしたら、ネグリジェを着ない体格の良い母親かもしれないが(^_^;))。それにこの朝の時間帯、ふつうは母親はキッチンで朝ごはんの用意などをしているものだし、ソファでゆっくりしているのは父親だろうし、とも。
   ↓

【F】このあたりで、結論に至る。

念のため、もう一周、絵を見渡して、とどめに
女の子の表情が「喜び」ということで間違いなさそうだ。
と確かめて、
「うん、こういうストーリー設定で間違いなさそうだ」と結論付ける。

要は、「女の子が何を言いたいのか、どう感じているのか」を把握することが、すなわち「この絵の概要」だと私は感じていて、無意識にそれ(女の子の感情)を一番気にしていたようです。私は。

   ☆.∴..∴..∴..∴..∴..∴..∴..∴..∴..∴..∴..∴.☆


【おまけ】

【G】左にある大きな緑のバッグは、目に入らなかった。

 靴下が入れられていたショッピングバッグだったのかもしれないが、フツー赤い靴下は子供の目につくようバッグの外に出されるはずだから。ここでは状況把握のためには、赤い靴下からプレゼントが出されたことさえわかればよかったので、無意識にそれ以上は精査しなかったと思われる。

 ちなみに今あらためて見てみると、紙バッグではなく、不織布のバッグだなと。さすが何でもサイズの大きいアメリカ(?)ではこういうショッピングバッグも一般的なのかなー? 緑なのはクリスマスシーズン限定かな? いいなー!などと、“紙バッグ・フェチ”の私は考えたりする……。
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ご本人が、このメールを書いて振り返られているのですが、「当初所要時間でこたえた数十秒は体感時間であって、こうして書いてみるときっと1分をかるく越えていたのだと思う」・・・・と伝えてこられました。



たしかに、この文章を見るたところでも、早くても、きっと1~2分は要しただろうなぁと感じます。


Bさんは、Aさん以上に詳細を検証され、認知度としては120点満点の結果を残されています。しかし、こうして振り返っていただいたものを見る限り、定型の認知のように効率よく・・・とはいっていないことが判ります。しかしながら、Aさんの認知手順である①~⑨ と同じプロセスを踏み、必要な答えにたどり着かれています。(これは彼女が経験と成長の中で身に付けたスキルだと認識されているようです。)


またその途中に幾度か細部にとらわれそうになりながら、意識して注意の集中を解き、次の精査に移っていかれている様子が見て取れます。


今日の分析は、このあたりとしておきます。

明日以降、もう少し掘り下げてみたいと思います。


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