2023年8月も中旬に入ります。今年もお盆休みに台風が直撃する状況となっております。皆さんのマンションでは局地的な雨に対する浸水対策は万全でしょうか?いつ大雨が来るとも限りません。エレベータや水の供給を止めないためにも、電力設備を浸水から守りましょう。

 

今回は、複合用途型(マンションと商業施設が一体となった建物)における、全体共用部の管理費負担割合について説明致します。

 

 

 

全体共用部の管理費・修繕積立金の負担割合は、専有部分の床面積の割合(区分所有法第14条1項)をベースに管理規約で定められています。

 

マンションと商業施設の負担割合は普段あまり意識されないかもしれませんが、大きなお金が動く大規模修繕工事のタイミングで、問題が浮き彫りになることがあります。ショボーン

 

大規模修繕工事の見積書を取得したところ、見積額が積立額を大きく超過しており、その原因が、商業施設の通路(全体共用部)にアーケードのような形で設置されている庇(ひさし)であることが判明しました。

 

商業施設の顧客を雨から守るための庇ですが、全体共用部に設置されている以上、規約で特段の定めがない限り、専有面積の割合でマンション区分所有者も負担することになります。

 

マンション区分所有者の立場からすると、商業施設のための設備であるにも関わらず、マンション管理費(又は、修繕積立金)から修繕費を支出することには抵抗があります。

 

一方、商業施設区分所有者の立場からすると、集客のために重要な設備であるにも関わらず、修繕を行うためには、マンション区分所有者の同意が必要なことに疑問を感じます。

 

費用の負担割合は、原則専有部分の床面積の割合(同法14条1項)になりますが、形状、面積、位置関係、使用目的及び、利用状況並びに、区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者の利害の衡平が図られるよう(同30条3項)、管理規約で定める(同30条1項)ことができます。ニコ

 

この問題は、庇が商業施設の顧客のための設備であるにも関わらず、管理規約に区分所有者の衡平が図られるような規定を設けていない点で、管理規約の不備が原因と考えられます。

 

マンションと商業施設は目的が異なるため、区分所有者間の利害は基本的に一致しません。

 

区分所有者の利害の衡平が図られるような規約を設けることで、マンションの資産価値を守っていきましょう!