最近、大手デベロッパーが、資材供給不安を理由に「引き渡し遅延の可能性」を契約者に通知し始めたというニュースが話題になっています。
中東情勢の影響による物流混乱は確かに不可抗力な側面はありますが、我々マンション管理の現場からすると、このニュースの裏側にある「もう一つの恐怖」に戦々恐々としています。
それは、遅れを取り戻そうとする「突貫工事」と、そのツケが回ってくる「管理開始後の手直し」です。
1. 「形だけ」間に合わせた建物の脆さ
工期が厳しくなると、現場はどうしても「見えるところ」を優先し、細部のチェックが甘くなりがちです。
・共用部のタイルの浮き
・植栽の根付きの悪さ
・排水設備の不備
これらは、入居が始まってから次々と露呈します。
管理会社は「快適な生活」をサポートするために準備しているのに、蓋を開ければ不具合の対応に追われる日々が始まるのです。
2. 「管理」と「工事」が混在するカオスな共用部
一番の困りごとは、入居者が生活を始めているすぐ横で、ゼネコンが手直し作業を続けることです。
本来、管理会社は入居者様が安心して過ごせるよう、セキュリティや清掃、点検に神経を尖らせています。
しかし、突貫工事の後始末が終わっていないと、以下のような事態が起こります。
・オートロック内に作業員が頻繁に出入りする(防犯上の不安)
・エントランスに常に養生シートが貼られている(新築の感動が台無し)
・工事の音や振動で入居者からクレームが入る
これらすべての窓口になるのは、デベロッパーでもゼネコンでもなく、現場にいる管理会社なのです。
3. 「突貫」のシワ寄せは誰にいくのか?
「引き渡し日に間に合わせること」は、デベロッパーにとっては契約上の義務かもしれません。
しかし、無理やり間に合わせた結果、管理の質が下がり、入居者様に不便を強いるのであれば、それは本末転倒ではないでしょうか。
私たち管理会社は、建物の「箱」だけを引き継ぐのではありません。そこに住む方々の「生活」を引き継ぐのです。
おわりに:業界全体への願い
資材が足りない、工期が厳しい。その苦境は理解できます。
しかし、どうか「引き渡しがゴール」だと思わないでいただきたい。
管理会社がスムーズに管理を開始でき、入居者様が笑顔で新生活をスタートできる。
そんな当たり前の完成を、切に願わずにはいられません


