傷寒論の世界では、

風邪は体表から侵入してきます。

 

体表の邪は汗として排除するのが

最も効率的です。

 

病邪が体表にあるのは太陽病です。

 

太陽病に用いる漢方薬で有名なのが、

葛根湯です。

 

風邪のひきはじめで、

寒気がして、汗がなく、頭痛、首筋の強ばりがあれば、

葛根湯が良く効きます。

 

エキス剤の場合はお湯に溶いて、

熱々のまま飲みます。

 

汗が出なければ、

もう一度飲みます。

 

汗が出るまで続けます。

 

体力がある人は、

葛根湯を飲んで、

お風呂で半身浴で汗が出るまでつかります。

 

その後布団をかぶって寝れば

風邪は一日で治ります。

病邪が体内に入ってきたとき、

漢方では、

体表に邪がある時は汗で、

胃にある時は吐かせて、

腸にある時は便で、

邪を排泄します。

 

しかし、半表半裏に邪がある時は、

発汗、嘔吐、瀉下で邪を処理しません。

 

小柴胡湯を使います。

 

小柴胡湯は三禁湯とも呼ばれ、

積極的に発汗、嘔吐、瀉下はせず、

和解して邪を治めます。

 

結果的に邪が汗や便に出ていく事はあります。

現在では使われませんが、

嘔吐させて毒を排泄させる

催吐薬が漢方にはありました。

 

瓜蒂散です。

口から入った毒は

体内に吸収される前に

排泄しなければなりません。

 

胃にある時は吐かせて、

腸にある時は下痢をさせて

排泄させます。

 

風邪は皮膚から侵入すると

昔の人は考えていました。

 

風邪は発汗させて邪を追い出します。

過敏性腸症候群の下痢型には

甘草瀉心湯を使います。

 

腹痛が強い場合は

大建中湯が良く効きます。

過敏性腸症候群の便秘型には

桂枝加芍薬大黄湯、

加味逍遙散加大黄を使います。

 

処方中に含まれる

芍薬、甘草で腸の痙攣を止めて、

大黄で便を排泄します。

 

加味逍遙散は

よりイライラの強いものに用います。

自律神経の乱れで、

排便が思うようにいかない場合があります。

過敏性腸症候群がそれにあたります。

 

過敏性腸症候群には、

便秘型

下痢型

便秘下痢交代型

ガス型などがあります。

胃腸の力が弱くて、

消化吸収がうまくいかず、

下痢する事があります。

 

長く続くと痩せてきて、

元気がなくなります。

 

そういう時は人参が入った漢方薬を使います。

 

四君子湯、六君子湯、啓脾湯、参苓白朮散など、

症状に合わせて使い分けます。

体の冷えが原因で、

腸が冷えていると、

下痢になります。

 

冷える事でエネギー代謝が落ちて、

水分を吸収する力が弱っています。

 

附子で腎を温めて、

エネギー代謝を高めて、

白朮、茯苓で腸内の水を捌く

真武湯が良く効きます。

消化管内の水分が吸収できないと

下痢になります。

 

体内に水が入ってこないので、

咽喉が乾きます。

 

胃はチャポチャポします。

 

腸の水が吸収されないので、

下痢になります。

 

そんな人は五苓散が良く効きます。

 

五苓散の白朮、茯苓で血管に水を引き込み、

沢瀉、猪苓でおしっこに水を捨てます。

 

浮腫みや雨の日の前の頭痛などにも使われます。

 

冷たいものを食べたり、

体が冷えると下痢する事があります。

 

腸が冷えると、

腸が過活動を起こし、

蠕動運動が亢進して、

排便が起こります。

 

大腸での存在時間が短いと、

水分の十分な吸収が出来ないので、

下痢になります。

 

こんな時は乾姜が入った漢方薬が良く効きます。

人参湯がファーストチョイスです。