70代前半 女性
<症状>
3ヶ月ほど前からの症状。頭の違和感(もわっとする)、頭の中がギューっとしめつけられるような感じ、時にツンと痛むこともある。横になっていると楽。脳外科を受診して検査をするが、異常なし。
<その他の症状>
肩こり、腕が重い、耳鳴、胃もたれ、首から上に汗をかき、足は冷える。
<生活環境>
◎運動:5~6年前から体操教室に通っている。
◎食事:朝食→ほとんど水分のみ(固形物は欲しくない)。湯冷まし、トマトジュース、ヨーグルトなど。昼食→空腹感があり、ご飯・おかずの一般的な食事。夕食→昼食をしっかりとると夜までお腹がもたれている。食べたら食べられるという状態。
◎水分摂取:よく飲むようにしている。運動中は1ℓほど飲む。運動の合間に飲むよううながされる。
<治療経過>
体の余分な水分(痰飲・たんいん)を温めて取り除く漢方薬を1週間分(1日3回)お出しした。
同時に、水分をとりすぎないよう見直していただいた。
例えば、朝食で水分しかのどを通らないのであれば無理に色々とるのではなく、温かい飲物を1杯(これを漢方薬にしてもよい)にする。外出するので何かお腹に入れておきたいのであれば、レトルトのおかゆを半分ほど温めて食べる。運動中の水分は常温にして一口ずつゆっくり飲んでいただく(目標1ℓなどと決めない)。日常の水分はのどが渇いてからにする、など。
1週間後、頭のしめつけ感がだいぶよくなった。同時に肩こりも少しよくなった。
もう1週間同じ漢方をお出ししたが、その後は来店されなかった。
1ヶ月ほど経った頃、同じ教室の方がその方に紹介されて来店された。
「頭痛にとてもいい漢方薬があるわよ」と。
<考察>
このところの習わしで、皆さん水分のとり方が多いと感じます。夏場になると「のどが渇いてなくても水分を!」などと聞きます。本当にそうすべきでしょうか?
我々が水分を取り入れたら、胃腸が吸収し体にとって有効な水分(津液・しんえき)に変化させます。津液になれば、体を潤したり体の熱を適正に冷ましてくれます。
ところが、吸収できないと尿として出ていくだけか、余分な水分(痰飲)としてたまり、体に害をおよぼすこともあります。
頭の「しめつけるような」痛み方は、多くは痰飲のしわざです。ですから余分な水分を温めて排出する漢方薬を選びました。同時にご自身でとる水分量・水分の温度を見直していただくことが大事になってきます。
※同じような症状であっても、合う漢方薬は同じとは限りません。自己判断による服用をさけるため、漢方薬の名前は記していません。