不良くん達は、従順な全体行動に反骨する。それが不良の美学。全員、前ならえ!小さく、前ならえ!僕は、可笑しくてたまらない。ばっかじゃねーのと不良くん達と同じくそう思う。ただ僕は馬鹿だから、前ならえをやるのが楽しくてたまらない。馬鹿の美学がそこにある気がしてならないのだ。一種の応援哲学に類する魅力。腕をぴんと伸ばし前の人の肩に触れるか触れないかの微妙な距離間をキープするのに神経を尖らせる。真剣に更には夢中になっている自分がバカバカしくてたまらない。案外みんな適当にやってるので何時までたっても僕は腕を下ろせないでいる。ずっと、ぴーんと腕を伸ばしているのは、キツイ。僕の腕はプルプルと小刻みに振るえている。男は我慢だ、と自分に言い聞かせる。多分、僕は相当な不良だ。みんながいい加減な前ならえをやっているというのに、文句も言わずひたすら列が整うのを辛抱強く待っている。僕は悪童に違いない。なんてカッコイイのだろうか。ひとり陶酔している僕は極悪の馬鹿である。そんな中、最前列が疎ましい。腕を腰にあて胸を張っている。なんて勇ましい姿だろうか。しかも、楽そうだ。ち、なんだか凄く腹立たしい気分が込み上
げる。もうその後の全体馬鹿行動が楽しめない。全員、休め!自由に休ませろや
、畜生め。僕の馬鹿美学は、すこぶる脆い。