もしも彼女が風邪を ひいたならば、僕は看病に駆け付けよう。りんごと桃缶を買って、看病をしにゆこう。お見舞いなんかじゃなくて、看病をするのだ。熱を計ったり、冷たいおしぼりで額の汗を拭ったりするのだ。気落ちしている彼女をまじかで見てみたい。そう、見たい。看たり、診たもしたい。さらに観てもみたい。もうとにかく素顔の彼女を見てみたい訳である。彼女のすべてを包み隠さず見てみたい。眉の剃り具合や睫毛の様子、鼻毛の処置に耳穴の複雑さ。熱でうなされる彼女の様子を観察したい。唇はひび割れ、はあはあと口で呼吸をする度に胸は上下する。そこには、生命体の標本が横たわっているのだ。僕は親切そうな振りをして彼女の看病に徹するのだ。