1/11に日清食品グループ陸上部が事実上活動縮小を発表しました。

 

https://www.daily.co.jp/general/2019/01/12/0011973006.shtml

 

デイリースポーツの記事によると、部員14人のうち、MGCを獲得している佐藤悠基、村澤明伸を除く12人に退部勧告、内定していた2人には内定取消をしたとのことです。退部勧告する12人については、移籍する場合は移籍先探しの支援、引退する場合は社業に専念させる方向、内定していた2人にも移籍先探しの支援をするとのこと。

 

https://www.nissin.com/jp/news/7498

 

日清食品グループ陸上部公式サイトによると、2019年1月以降駅伝には参加しないとのことでした。

 

ただ、昨年DeNAが駅伝に参加しないと表明しましたが、駅伝に出たい選手は移籍し(カネボウに移籍した木津や自衛隊体育学校に戻った室塚)、駅伝にこだわっていない選手はそのまま残留しました。

 

日清のサイトも書き方は同じですが、内情は違うというところでしょう。

 

今回の決定は残念なことですし、内定者がいるにもかかわらずこの決定をしたのはタイミングとしては最悪かなと思います。

 

部員や内定していた選手については早く次の環境が見つかることを望みます。

 

さて、陸上に限らず実業団チームが休部・廃部・活動縮小する理由はさまざまあると思いますが、大きくは

 

① 会社の業績が急激に悪化したり大きな不祥事が起こったりして、チームを抱え込む余裕が費用的になくなること

 

② 会社としてチームを運営するやる気がなくなってしまったこと

 

当初は②の会社としてチームを運営するやる気がなくなってしまったことだけかなと思いました。

 

かつては、諏訪や佐藤悠基など五輪ランナーや日本選手権優勝者などを輩出し、ニューイヤー駅伝も2010年、2012年に優勝していました。

 

ただし、近年は個人にしても駅伝にしても低迷していました。今年のニューイヤー駅伝は16位という厳しい結果に。

 

個人としても佐藤悠基、村澤がMGCを獲得しているものの他に目立った成績はありませんでした。大学のエース級の選手がたくさんきていましたが、ケガ人も多くなかなか継続して結果が出ていないようでした。

 

選手は契約社員で、今年のニューイヤー駅伝ガイドですと社業も週2回とのことでしたが、ほとんど出なくて良かったという話も聞きます。また、報酬(給与)もそれなりにあったとも。ただし、結果が出なければ容赦なく退部、ほとんどの選手が退社させられていたようです。プロに近い形でやっていたのでしょう。

 

また、現在総監督の白水さんのリッカー・日産自動車時代の教え子であった工藤一良さんがコーチにつき、駅伝で好成績を出したにも関わらず、愛知製鋼に移籍。その後同じく日産自動車時代の教え子である森田修一さんをヘッドコーチにしましたが、成績が低迷し退任しました。現在、山梨学院のマネージャーから日清食品のマネージャー・コーチをやっていた岡村高志さんが監督代行としてやっておりますが、結局監督は空席のままでした。日清上層部と陸上部との間も上手くいっていなかったのかなとも感じます。

 

費用をかけているにも関わらず、近年成績が残せておらず、同じくスポンサーをしているテニスの錦織選手は大坂選手と比べても費用対効果として割りに合わないのかなと感じての今回の件なのかなとも思いました。

 

しかし、①についても考えました。日清のIR情報について、

 

https://www.nissin.com/jp/ir/financial/consolidated/

 

日清の公式サイトにあります過去5年の業績を見ますと、やはり食品会社なので業績は安定しています。

 

しかし、キャッシュフロー情報を見ると、前期のキャッシュの残高が大きく減っております。これは、設備投資を大幅に増やしたからと思われます。滋賀県栗東市に新工場を建設しておりますし、海外でも設備投資を増やしているようです。

 

業績はいいものの、キャッシュフロー的に設備投資に重点を置いていて、陸上部に回す余裕がなくなってきたのかなとも感じました。

 

ということで

 

①今回の日清の陸上部の活動縮小は近年の駅伝や個人種目での成績低迷で費用対効果に合わなくなってきたこと

 

②錦織選手や大坂選手などスポンサーしている選手の好成績により陸上に関してもそういう個人スポンサーに移行したいこと

 

③キャッシュを設備投資に振り向けるため資金を回す余裕がなくなったこと

 

かなと思いました。