ヤナセ8-13G。各社からいろいろ除雪機が発売されてますが、少し表記が違いますけど名称でだいたいのスペックがわかるようになっていますね。つまりこれは除雪幅80cmでエンジン馬力が13馬力ということ。


これは実は親戚の家にあった機械なのですが、エンジンが焼き付いてコンロッドが折れ、クランクケースに穴が空いてしまって、昇天

さらにもう使う人もいなくなったので昇天引き取ってきたものです。HS80ほど古くはないですが、これも年代物です。オーガの上下や左右傾きが油圧で動作するんですが、幸いこちらには不具合はありませんでした。が、使えるように再生するにはエンジンの修理または載せ替えが必要でした。

B&Sとか言う外国製のエンジンで、そりゃ発売間もない一世代前くらいのものならパーツの入手も載せ替えエンジンの在庫も可能でしょうが、普通に誰がこんな昔の機種の、保証期間を過ぎた大修理に及ぶ面倒な注文を、メーカー側が懇切丁寧に受けてくれるか。ってことで、自分で直すしか道はなかったですね。(ちなみにホンダさんはこの点、パーツ供給とか拠点が多いし、情報量が多くて流石に有利です)

直す気合びっくりマークと修理代が整うまで、しばらく保管しておりました。

 

メーカーや機種、新品中古など問わず、シャフトがエンジン横軸タイプでギア比が直結で13馬力のエンジンで除雪機に乗せることができるものを探しましたが、そんなのがほしい個人での需要なんてないわけで、汎用エンジンと言われ、工作機械を製作メーカーが設計してそれに動力としてエンジンを乗せるってことかな。その方面で「三菱メイキエンジン」というのがなんとか使えそうだと判断しました。個人での購入も、とあるネットショップで入手可能でした。定価15万円ほど。もちろん載せ替えにあたって適合性など保証はなく、除雪機として完成できなくても自己責任です。

その前に、故障のこれを捨て値ジャンクでオークションに出して、中古の同型機(ほぼ見ないけど)や他の除雪機を買ったほうがむしろ得策かもしれないですが、なんか萌えちゃったんですね。修理して直すってことに心が照れ

エンジン降ろして。

 

当然、エンジン取り付け穴は位置が違うし、クランクシャフトの高さも長さも違う。高さの方はプーリーの駆動ベルトを長くすることで解決できますが、シャフトが短いのはダメです。上と下のプーリーのラインが違って、Vベルトが斜めに回転してすぐ切れるのが明らかです。これはお釈迦になった方のエンジンからぶった切って、溶接して長さを足しました。本来ならきちっと精密加工してダイヤルゲージとか使って回転にブレがないところまで突き詰めるのでしょうが、まあそこはDIYということで目視で納得行くとこで合格としました。(溶接だと点付け時点でも縮みが出て芯がずれるので慎重に先を読んで)

その後DIYで、作業用LED灯追加。雪山を先行で崩すサイドカッター。雪詰まりを取るミニスコップ取付け。オーガーのチップが減ったので溶接肉盛りを施しました。

まあこれらなんとか成功して今使っているわけですが、この機種の良いところは

電動二段シューター。油圧オーガリング。HST無段変速。後退時自動オーガリフト。もちろんデッドマンスイッチ(各所からのリレースイッチです)付き。舟形クローラーでスタックすることが少ない。

なんと運転時はHSTのレバーを押し下げた状態(これがデッドマンスイッチ)で倒す量でスピード調節しながら走行。あとは右手でローリングとシューターの操作。つまりですね、小型機が抱える致命的な欠点の、路面変化による機体立て直しで体力勝負する必要がないんです。

ですので、先の記事にも書きましたが、小型だからといって必ずしも楽だとは言えない。ってことです。(価格と置き場の面があるから人それぞれなんですが)

 

少しの不満

除雪に対する基本能力はものすごく高いこの機種ですが、バックの速度が遅いんです。安全面から、後退時にもし転倒したらということなんでしょうけど、ちゃんと安全装置もあるんで。もう少し早く移動できたほうが良いと思います。

あともう一つ。今はあって当時はないシステム?なのか、オーガのサイドハウジングがない新機種が近頃多く見受けられます。深い雪の中で旋回するときに有利だからでしょう。運転の殆どがレバー操作だけに、機械に無理がかかって旋回の動きが止まってしまうのがややストレスに感じます。その時は体力がいるんです。

 

でも、そういったシチュエーションでも使えるテクニックを少しばかり紹介。

まともにオーガハウジングを水平に地面に付けてやってしまうと抵抗が大きくて旋回には不利です。基本はオーガを少し浮かせ。そして曲がりたい方向(例えば右)のオーガをやや下げるとそちらの抵抗が増えるとともに、微妙ですが斜面効果ができてレバーで向き変えしなくても(右へ)ゆったりとカーブしてくれます。(You Tube見てますが誰もこれを解説した人はいない)

 

まあ、そういうことを含めて、除雪機を扱うのには、どこから始めてどういったルートで進行してどこに雪を(一旦)集めてという流れの作り方で能率が全然変わってくると思うので、失敗を含め経験したりまたは人からアドバイスを貰っていく。という向上心は大切かと思います。

そして扱う相手は強力なエンジンと鋭利なオーガですので、くれぐれも間違った使い方や安全装置解除などしないよう。ご注意願います。

 

その他の機種編へ。続くかどうか