ヨーロッパ放浪時の想い出です。

 

スイスのローザンヌの駅構内の公衆電話を

使い、電話をかけようとした時、音声ガイドが

流れるだけで一向に電話が通じませんでした。

 

そこで通りすがりの何誌も新聞を持った紳士に

電話の使い方をお聞きしました。

 

彼は、快く電話を取り、音声ガイドを聞いて操作

してくれたのですが、彼でさえも何度挑戦しても

電話がつながることはありませんでした。

 

あまり時間を取らせるのは申し訳ないため、

「ありがとうございます。他の方に聞いてみます。」

と言ったのですが、彼は「公衆電話は使ったことが

ないから、使い方が分からないけど、近くに住んでいる

から家の電話を貸してあげるよ。」と提案してくれました。

 

とても紳士的な人だったので、お言葉に甘えることに。

 

彼の運転するポルシェで、丘の上に建っている

一軒家の豪邸へ。

 

庭には、ランボルギーニを始め、複数の高級外車が

ありました。

 

彼は電話を貸してくれた後、「ご飯もう食べちゃった?」

と聞かれたので、まだ食べていないと答えると、

「それなら一緒に食べよう。」と誘ってくれ、

昼食を用意してくれました。

 

5ヶ国語が堪能な彼と、放浪の旅に出る前に

スペイン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語の

本をそれぞれ一冊ずつ丸覚えした私。

 

時々、言語を変えながら楽しく話に華が咲きました。

 

昼食を食べ終わると、彼が家の中を案内して

くれました。なんと、シャガールやピカソの絵が

各部屋に飾られていました。

 

また、彼の運転する車で駅まで送っていただき、

今度お礼がしたいから良かったら日本食を

ご馳走させていただきたいので連絡先をください

とお願いしたら、2枚名刺をくれました。

 

何と、あのネスレの取締役。

更に、ヨ-ロッパでも最大手の会社の

取締役もされていました。

 

ローザンヌすぐ隣のヴィヴィイには、ネスレの

本社もあります。

 

私に対しては、とっても紳士的な態度だった彼。

しかし、何方の会社もイギリスが毎年発表する

ワースト会社ランキングの上位を占めていました。

 

それを見て、ちょっと複雑な気分に。

 

独り身だった彼。お金持ちにすり寄ってくる

人たちに疲れたのか?それとも、お金持ちに

なるために、他の人を犠牲にしてきたのか?

 

この後も、何度か放浪していた時に、

あり得ない世界のお金持ちとの出逢いが

何度もありました。