aki

僕は信じられない・・・

かのん、僕は僕の誕生日にプロポーズを計画していた

君への婚約指輪もすべて買って・・・

上海に帰って国際結婚の書類を全て整えて

君に結婚を申し込む手筈をすべてとっていたんだ・・・・




そんな想いも知らず、私と彼は結婚に踏み切った

踏み切った一ヵ月後、ゆうは私に告げてきた



ちゃんと話していた筈だった

だけどゆうと私は何処かで話しがずれていってしまったようだ



・・・ゆうは完全に生気を失ってしまった



結婚したと同時に色々なことが一気に回り始めた

・・・そう、運命のルーレットが。








青々しかった木々たちも色づき始め

朝の空気は凛とした空気が頬を撫でる


暗闇の中に燃えるような日が昇る



季節だけが変わったのか

それとも私たちが変わりきれないのか



奪われたものを必ず取り戻すと

以前にも増してゆうの想いを大きくさせていった


私と彼は結婚をし

幸せのはずなのにたびたび口にする言葉・・・

「かのんが何処かに消えてしまいそうで怖いんだ」



この季節が一回りするまでに

一生分の出来事を味わったんじゃないかと想うくらいのことが重なった


何が正しいかなんて誰も分からない

この世に信じられるのは自分だけ


予測出来ないこの展開に

私と彼とゆうは何処に向かっていくのだろう・・・




世界中に色々な国の人たちが存在して

何十億人という人がこの地球に住んでいて


私たちは一生の中で互いに関わりをもちあいながら

出逢うことなんて少ないことだろう



その何億人分の一の確立で私たちは出逢うのだ



その確立から互いが出逢い

ましてそこから恋が生まれ愛し合う


出逢う確立から愛し合える確立なんてもっと少ないだろう


何十億分の一で出逢った人たちは

決して偶然ではなく必然的に出逢ったのだ

人種も国境も越えて自分にとって出逢った人は

必ず意味がありそこにmessageがあるのだ



そう想うと生まれも国も言葉も違うゆうと出逢い

恋に落ち、愛し合い、婚約までしたことはすごいことなんだなぁと

しみじみ想った


今の彼とも、不思議なことに十数年近くも彼の家の前を何度も通っていたのだ

たまたま彼の近くの病院へ数年かかってたり


何処かで何度かすれ違ってたかもしれない


本当に人と人との出逢いは紙一重だ






携帯が震える

こんな時間に鳴るのは

ゆうしかいない



日本には売ってない、勿論中華街に行っても

中国にしか売ってない服を注文したよ



本当はオーダーで作るのだが、今回は測ることが

出来ず、SかMで裁断してもらったらしい。

色も明るいグレーがパープルでゆうは悩んだらしいが、

ゆうの好み?でパープルで発注したらしい


いったいどんなものかすら想像も出来ず、

ゆうはひたすら、かのんに必ず似合う、これを着て一緒に

歩きたい・・・そんなことを楽しそうに話してた。



私は何もいらないの、ゆう

あなたのその気持ちだけで十分なんだよ


それよりも、あなたが上海へ帰ってしまう決断のほうが

どれだけ戸惑ってるか・・・・・



・・・最近ヘンな感情に捉われることが多くなってきた

ここまで来て、自分の選択はこれで本当に良かったのか、と言うことだ



こんな時期に、自分の決断にどこか迷ってきている自分がいた



・・・そう、何もかも選択することに

「考える時間」というものがほとんどなかったこと。



日本で逢えなくなるゆうに

どこか自分の想いが戸惑っていること・・・・・





今週末に引越しが控えている。

ほとんど荷物は持っていかないハズなのに・・・何故にこんなに

多いのか??


服だってダンボール3箱分。

あとは実家に置いていく。

とは言っても、スーツやコートなど、たためないものはその日に

ハンガーにかけて運ぶのだけれど。


家具も鏡台とアンティークチェストのみ。

その中身を詰めただけなのに。


まあ、以前に使用していた食器類などのダンボールがもともと

5箱はあるけどね(汗)

あとは貴重品。


しめて11箱・・・・・・・・・・とブーツ5箱とその他チョット・・・・

ま、まずい・・・かなり減らしてるのに・・・怒られそう・・・(滝汗)


もぅ~めんどっちぃなぁ・・・・




My honey!

僕は君のために昼間も働くことにしたよ。

あまり連絡が出来なくなってしまうけど

僕はいつでも君のことを想っている。

僕の愛しいangel・・・かのん



ゆうが昼間も働きだした。

夜も深夜まで仕事してるのに・・・身体壊さないか心配。

たとえ結ばれないとしても、ゆうは大切な人に変わりはない。



   そう、わたしにとっては

            いつまででもゆうは大切な人



そう考えるようにした。

ゆうが私を必要とし、取り戻そうとしているのも分かってるけど

今はこれ以上、ゆうの心をズタズタにしたくない・・・

あの子供のような、屈託の無い笑顔を見るたびに私の心は痛む。


中国語を勉強するたびに、最近はゆうを想い出す。

日本で出逢った、異国の恋人。

よく前は皆に「いったいどうやって知り合ったの??」と口を揃えて

言われたっけ。


最初はゆうが外国人だなんて知らなくて、普通に出逢った。

話しているうちに分かって。


でも家が上海で指折りの階級だと知ったのは、付き合い始めてから

数ヶ月経ったあとだった。

別にゆうがそういう階級だったから愛したのではない。


ゆうという一人の人間を愛した。

先に知ろうが、後で知ろうが、私にはどっちにしても関係ないこと。



ゆうは本当に心から人を愛したことがなかった

心からの涙を今まで流したことがなかった

愛する人を失う恐怖を知らなかった

胸が焦がれるほど、痛く苦しくなるほど愛することはなかった

泣くこともなかった

今まで失恋なんてしたことがなかった



私は・・・ゆうに全てをいっぺんに与えてしまった



ゆうは本気で愛してくれた

そして今でも

だからゆうにとって一生忘れられない人となってしまった



・・・そんなゆうを私も全てで愛した


そんなゆうの気持ちや想いを粗末に出来ない。

たとえ、周りが何と言おうと、私にとってゆうはずっと色々な意味で

大切な人なのだ









夜中の2時半

枕元の携帯が震えた

その声は・・・ゆうからだった



僕はかのんを想えば想うほど

胸が苦しくて痛くなって・・・貼ってあった君の写真

見ると胸が痛くてはずしてしまった


凄く凄く愛しているんだ

かのんがいないとぼくは・・・



涙混じりの声が耳に触れる



かのんと最後のクリスマス

最後のお正月

二人で最初にデートした場所


みんな最後になってしまう


どれ程にかのんを一緒に連れて帰りたいか

どれほどさらってしまいたいと想ったか

上海で君と暮らすこと、どれほど夢見てるか・・・




・・・ゆうの想いは痛いほど伝わってくる

今年起きたことが私たち3人にとってきっと「運命」だった

皆真剣だから・・・それぞれに迷い苦しみ時に泣いたりした



・・・運命は時に優しく、そして時に残酷だ











あなたのそばに居られないのに

悲しんでいるあなたを慰めてもあげられないのに


なぜあなたはそんなにも私に笑顔を向け

「愛してる」と何度も何度も囁くの


逢えないのに「逢いたいよ、逢いたいよ」と

言葉だけでも痛いくらい伝わってくるよ


こんなにも愛して愛して仕方がないんだ


そう呟き俯き加減になるあなたに

あなたのためにわたしはいったい何をしてあげられる・・・?



・・・ねえ、ゆう。




来月早々に引越しを控えているが・・・・

まだ何も手付かず状態


以前とは違って、とにかく買い揃えるのが大変で

「楽しい」と通り越して「苦痛」に変わってきてる私と彼(汗)

そんななか、私も仕事が決まり何とも目まぐるしい年の瀬になりそうだ


彼は気を利かせて知らない間にクリスマスにホテルを予約してくれたが・・・

その気持ちがかなり嬉しかったけど、今回は初めての新居で過ごそうと

私が提案した。


その頃にはいくらか部屋も落ち着いてるだろう・・・・いくらなんでも・・・


部屋の押入れにずっと眠っていたダンボールがいくつかあり

食器なども入ってるため引っ張り出して必要なものを取り出してた


その時・・・

ウェディングドレスに身にまとって微笑んでいる25歳の私が出てきた


アルバム4冊にビデオ2本

写真の中の私はどれも無邪気に彼と寄り添って幸せそうだ

17歳で運命の出逢いを確信した私、そして彼


今はどうしてるのかな・・・

ちょっと心が甘く刹那い想いが溢れ出た


またこんな風に誰かを愛することなんて無いと想ってた数年間

出逢って2週間でプロポーズをしてきた今の彼

かなり無謀で真っ直ぐで・・・そして熱い想いを私に惜しみなく魅せてきてくれた人


今私はこの時よりも遥かに彼が大切で愛している


「私は今、幸せだからね」

写真の中の彼にそう呟き、アルバムをそっと閉じた


何となく、微笑んでるように見えたのは気のせいかな(笑)













sanset
      

素敵な人生を
愛に溢れた日々を
誰もがそんな人生を
願ってるはず

どんな日々を送ろうとも
愛する人を想うことも
想って欲しいと願うことも

すべては自由なんだと

どこにも答えなどない
あるとするならば
きっと心のなかにあるはず

心を研ぎ澄まし心に耳を傾けて
心が行きたいと願うところへ

この命がどこまで続くのかは
神のみぞ知ること
だからこそ無意味に過ごしてはならない

訪れる毎日が意味のある日々であるように