あと少しで終了してしまうアーティゾン美術館に行った。
（会期～８月２０日（日）
タイトルは「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」とい長いタイトル。
アーティゾン美術館の公式HPより
展覧会の概要を引用しておきたい。
この展覧会は、印象派を起点として、世紀初頭の革新的な絵画運動を経て
抽象絵画が生まれ、２つの大戦を経てさらに展開していく様子を、おおよそ1960年代まで、フランスを中心としたヨーロッパ、アメリカ、そして日本の動向を中心に展観するものです。
本展では、石橋財団コレクションから新収蔵作品* 95点を含む約150点、国内外の美術館、個人コレクション等から約100点、あわせて約250点の作品を、アーティゾン美術館の全展示室を使ってご紹介いたします。
（展覧会の構成）
Section1 抽象芸術の源泉
Section2 フォーヴィズムとキュビズム
Section3 抽象絵画の覚醒ーオルフィズム、未来派、青騎士、バウハウス、
デ・ステイル、アブストラクション＝クレアシオン
Section4 日本における抽象絵画の萌芽と展開
Section5 熱い抽象と叙情的抽象
Section6 トランス・アトランティックーピエール・マティスとその周辺
Section7 抽象表現主義
Section8 戦後日本の抽象絵画の展開（1960年代まで）
Section9 具体美術協会
Section10 瀧口修造と実験工房
Section11 巨匠のその後‐アンス・アルトゥング、ピエール・スーラ―ジュ、
ザオ・ウーキー
Section12 現代の作家たち―リタ・アッカ―マン、鍵岡リグレ、要正綱、津上みゆき、柴田敏雄、高畠依子、横溝美由紀
あらためて、広辞苑による「抽象芸術」を調べてみた。
「現実世界の形象を取り扱わず、純然たる線・色・形によって
造形表現を行う非具象的な芸術の総称。」と定義されている。
すなわち、抽象作品の中に描かれた「モノ」は、
モノ自身に意味がある訳ではなく、
モノ（作品の線・色・形）の中に表現された
美しさと芸術性を見出すことである。
この展覧会は、出展作品は、なんと約250点の作品！
説明を読みながらじっくり作品を観たので
約3時間以上滞在してしまった。
特に良かった点は、
・アーティゾン美術館の収蔵作品がほとんどで、
新規収蔵作品が多いので、写真撮影可の作品が多かった。
・知りたかった抽象絵画の歴史を発生から時代に沿って
鑑賞できて理解できるようになっていた。
それでは、自分なりに印象深い作品を挙げておきたい。
（どれも素敵な作品ばかりで選ぶのに苦慮した）
抽象絵画が誕生する前、抽象絵画誕生のきっかけとなった作品
ポール・セザンヌ「サント・ヴィクトワール山」
石橋財団アーティゾン美術館
絵のサント・ヴィクトワール山は青や緑に彩色されているが、
実際は石灰岩質の白い岩山である。
「自然を円筒、円錐、球によって扱う」というセザンヌの主張の通り、
山や建物は幾何学的なフォルムに再構築されている。
《黄昏、ヴェネツィア》 クロード・モネ
1908年頃 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館
この作品の左側に描かれているのは、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会。逆光の中、教会はシルエットで表されている。
黄昏の燃えるような光が、建物や空、水面をオレンジ色に輝かせ、
水平線に向かうほど赤みが強くなっている。
空にはうねるような筆致、水面には横向きのタッチを使っている。
モネの巧みな筆づかいを見て取れた。
そのほかにも抽象絵画の先駆者であるカンディンスキーやモンドリアンの
作品も展示されていた。
油彩に川砂を混ぜたものを何層かに重ね塗りして、
上の層を掻き落として下の層の色を出して表現する、
という独自技法で絵画を制作している。
柴田敏雄氏は、抽象を創作のテーマに作品を制作している写真家。
抽象は絵画のみではないのである。
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抽象芸術はわかりにくいものと思っていたが、
それらの作品を観るときは、
理屈や何が描かれているかを考えるのではなく、
作品に内在する美しさと芸術性、
作家が作品に込めた美意識を感じとることにある、と思った。
それは、風景でも、静物でも、あるいは抽象でも、
同様のことではあるのだけれど。。
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