彼女は私が知ってる彼女とはだいぶ変わっていた。
顔と体にある火傷の跡とだいぶふくよかな体と斜視。
恥ずかしいし情けないけれども彼女が怖い。そう思った。
本当に情けない。
彼女の斜視の目が私を見たとき本当に、怖かった。
一言二言言葉を交わす。当たり障りの無い世間話と子供が生まれたとか引っ越したとか、今はリハビリを頑張っているとか軽い話。
彼女の目が見れない私を彼女はきっと気づいたと思う。やんちゃ盛の子供を言い訳に彼女では無く子供ばかりを見ていた。
そして子供を言い訳にその場を離れた。
自分が情けなかった。
どうしたら良いのかもわからなかった。私が何かしようとも彼女はどうにもならない。
無力さに本当に情けなくて子供に隠れて密かに泣いた。
それから彼女からの電話が来たのは2日後だった。十何年振りの彼女からの電話。
内容は中学時代の先生の名字だった。
彼女は何故か怒っていて私に何故分からないのかと怒鳴り付けた。分かってるはず。同じクラスなのに。違う。何故分からない。
そう怒鳴る彼女にどうしたら良いのかも分からなかった。
「もういい。今から○○(私)ちゃんちに遊びに行くから。」
正直血の気が引いた。
「あ、引っ越したって一昨日言ったよね。△△(彼女)ちゃんが知ってるアパートにはもういないよ。」
「なんで!!聞いてない!!なんで!!知らない!!もう
いい!!」
電話が切れた。何故怒っていたのかは最後まで分からなかった。そしてそれが私が彼女と話した最後の会話だった。
その更に2日後、彼女は自宅に火を放ち大火傷を負いそして放火で逮捕された。
その後の消息は今も分からない。
本懐を遂げたのかも知れないし施設に入ったのかも知れない。
一緒に住んでいた筈のおばあちゃんもどこに行ったのかは近所の人も分からないそうだ。
しばらく時間が過ぎて夫と見に行った彼女の自宅は真っ黒に煤けた骨組みがあるだけで何も無くなっていた。
一人の人間に執着し、悲観し、未来を失い過去だけに縛られた彼女。
彼女は綺麗だったし凄くモテた。
詩を彼女に手紙で毎日贈る人も居た。
ドライブに毎週誘う人も居た。
そばいにて話をきちんと聞いてくれる真面目な人も居た。
でも彼女は彼だけに執着した。
執着心が強過ぎた人の行く末を娘に語って聞かせた。
どこかで考えるのを止めて前を向かないと闇が襲ってきて周りは闇だらけになる。そこは寒いしツライし寂しくて悲しい。
だから光の差す前を見なさい。前が見れないなら一歩分先を見なさい。愚痴は止めて楽しい事を話しなさい。楽しい事が見当たらなかったら今日のお弁当の中身を考えなさい。チョコを一口食べて窓の外を見なさい。光を見なさい。
去っていった人の事は悪口を言ってまで執着せず、そばに居てくれる友達を大切にしなさい。難しい事を考えて愚痴を吐くのはただ魂を削るだけだからそばに居てくれる友達と天気の話でもしなさい。晴れてるねとか曇って来たねとか。もうちょっと話せそうならあなたの好きな押しキャラの話をしなさい。
そしたらほら、体がちょっと温かくなって来てちょっとだけ心が軽くなる。
一途なのはいいけど執着心が強いのはちょっと…ね。
娘にどれだけ伝わったのかは分からないけど
彼氏まじクズ。
そう言ってたからまぁちょっとは…