うちの娘は執着心が強い。

去年の年末に仲が良かった友達と喧嘩し今尚ちゃんと仲直り出来ていない娘は学校にも行きたがらない。

まぁ中途半端な大人でまだまだ子供で一番調子に乗ってる時期だしお互いに思う所はあるのだろう。

もうアイツとは友達じゃ無い。もうなんとも思わない。あんなヤツ。 

そう言い放つけど今までそのお友達が他の子と喋るのでさえも嫌がる程に執着していたのにたかが1ヶ月で断ち切れるわけもなかろうに。  

絶え間なく出るわ出るわその子の愚痴愚痴愚痴愚痴。

愚痴が出るのは未だ執着してる証拠よ。ホントにどうでも良くなったら考えもしなくなるわ。


だから教えてあげよう。ママの友達の話を。一人に執着し過ぎて壊れた人の話を。  

その子との出会いは中学時代。同じ部活で最初から何故か気が合った。
当時イジメられっこの私に寄り添い綺麗な音色のピアノを弾いてくれていつも一緒に居てくれた大切な友達。

高校も同じでずっと一緒に過した。クセが強い子だったけどそれも個性的で綺麗な子で趣味も同じで喧嘩もしたけどその都度、話し合って仲直りして、社会人になっても休みを合わせては遊んで笑いあった。

そんな彼女に好きな人が出来た。

彼女は彼が好きで彼は別に彼女がいた。

最初は話を聞いて一緒に悩んで考えて、でも彼女は諦め切れなくて、好きで好きで。

そのうち人づてに聞いた彼の実家を見に行くようになった。少しでも彼の面影を感じたいから…と。

そのうち私も一緒に彼女に連れられ彼の実家を見に行くようになった。

ここが実家だよ。

と彼女は幸せそうに言ったのを覚えている。

少しすると彼女の熱意に彼が動き彼は今カノと別れるから待ってて。と彼女に囁き始めた。

彼女は歓喜し彼が今カノと別れるのを半年ほど待って交際が始まった。

彼女はとても幸せそうで私も嬉しかった。

でも本当は彼は今カノとは別れてはおらず彼女はただの浮気相手だった。

それがわかったのは割と直ぐで、彼はあの子が未だに俺の事が好きで泣いて縋ってくるだけ。と、彼女に言い訳した。

でも無理やり私を連れて見に行っ彼の実家には彼と本命カノとの車が並んで停めてあって県外出張は嘘だと発覚。時々あった海外出張も残業も多分全部嘘で本命カノと会って居たのだろう。

彼女の憔悴は凄まじかった。

そして気付いていても言い出せずに、別れた方がいい。私がそう忠告し続けて何ヶ月もたったある日彼女は彼の本命カノの祖母からの電話を受ける。

孫が彼と結婚するから彼にちょっかい出すのはいい加減やめてくれ。

彼女はそれから直に会社を辞めて家に籠もるようになり鬱を発症した。

何度も何度も自分で自分を始末しようとして切り刻み更に自分に火を付けた。綺麗だった顔も体も火傷のケロイド状の跡が残った。でも、まだ諦めず何度も何度も。

入退院を繰り返し引き籠もりを続けて10年がたった。私はその間に結婚して子供が生まれた。状況が違い過ぎて疎遠になり電話もメールも返っては来なかった。彼女の実家に行くも会わせては貰えずどうしようもなく過ぎた10年だった。

そんな折に、近くのスーパーで彼女らしき人を見つけた。

介助者らしき人が付き添うそばでゆっくりした動作で品物を袋に詰めていた。