私に生きる歓びを与えてくれたあの人が死んだ。



彼のお誕生日に訃報を受けて…

半年以上前だったと知った。



彼の優しい笑顔と温かい空気が蘇り

私の周囲を漂う。



優しい時間だった。

幸せな時間だった。



朧月のように とぼけた雰囲気と端正な横顔。

彼の美しい横顔が大好きだった。


『無駄にイケメン』

と私がよくからかったっけ。


毎朝私のために丁寧に落としてくれた珈琲。

朝食の支度の音を聞くのが嬉しくて寝たふりをする私。





先生ありがとう。

 



私は今、大切にして貰っています。

あなたが私を大切にしてくれたから

私は私を大切にすることを知りました。


そのおかげで、今、私は、幸せです。



もっと何か出来なかったか

もっと出来ることがあったのでは



どうしても考えてしまう


『今でも、大切な、可愛い彼女のままなんだ』


ダメだ、

泣くのはもう辞めようと思っても

あなたの優しい声がいつまでも私の心に微笑みかける。



こんな素敵な思い出を残された私は幸せだと思うけど

それは手を離してしまった私への言い訳。



今、そばに居てくれる旦那さまへの申し訳なさと

でも、心の奥の、この思いを大切にしたい気持ちと


色々な心が重なっている。



今の私がいるのは全て先生のおかげで…



あの日々が無ければ今が無くて…


今はただ、漂うしかなくて…



そんな私を抱きしめてくれる旦那さまがいて

『大丈夫、大丈夫だよ』と繰り返してくれて




今はただ、漂うしかなくて…