冬の空気は澄みきっているわけで
晴れの日は空の奥のほうまで見えるわけで
上ばっかり見てた20代前半の話
セブンイレブンでキャベツの浅漬けを買った
帰り道、夕焼け空に綿あめみたいな雲が浮かんでて
上ばかり見て歩いてたわけだけど
突然、しゃっくりみたいな叫び声を上げることになった
足元のマンホールのふたが
半分、開いてた!
「ひっ!」
あと半歩踏み出してれば
右足を穴に突っ込んで
僕の下半身の付け根は使い物にならなくなっていた
人生の意味の4分の3を失うところだった
怒りがこみ上げてきたけど
誰が、何のために?
工事中の看板があったわけでもない
中に住んでるのか?
「おーい」
浅漬けをお供えしようと思ったけど
怖くなって逃げた
背後から誰かが追ってくる気配を感じていた
家で息を整えて、キャベツ食ってから思った
「足元には面白い世界が広がっている」
以来、マンホールのふたが好きになり
2年前にはマンホールのふた研究の第一人者と
横浜市内のふたをひたすら鑑賞して歩いた
写真は、横浜市中区の日本大通り沿いにあるふたで
現在使われているものでは最古参に近いそうだ
「表面のはげ具合が素晴らしい」(先生)
下を向いて歩こう

