「なに、それ・・?」


アンの部屋の壁には何枚かのポスターが貼ってあって、そのうちの1枚は銀杏のミネタくんだ。あたしに分かるのはそれだけで他のは誰だか分からない。後はミニコンポとCD、ミニコンポが置いてあるラックの下には雑誌が並んでいる。そのコンポのラックのそばに漫画雑誌を数冊ガムテープで固めたのが転がっている。しかも同じようなのが3個も・・・・。


「ああ、それな、自家製練習用ドラム・・・こんな感じでな・・・」アンは体を伸ばして棚に置いてあったスティックを手に取り、その雑誌の塊をバタバタとリズミカルに叩いて見せた。


「へぇー、すごーぃ、アン、ドラムできるんや」


「できるっちゅう程でもないけどな・・・」アンが照れくさそうに言った。


「でも、なんで・・?」


「彼氏がバンドのドラマーやってん。そんで面白そうやなー思て、ちょっと教えてもろた・・・」


それからアンはドラムについてプチ講義してくれたけど、スネアなんとかとかライドなんとかとかペダルがどうとか、あたしには何のことやらさっぱり分からない。なのでその辺はスルーしてもっと興味のあることを聞いてみた。


「それよりアンの彼氏ってどんな人なん?」


「地元の中学の先輩で2コ上、あぁしが中3の時につき合いだしたんやけど、その彼氏の影響でライブ観に行ったり音楽に興味持って色々教えてもろたりした・・・」


へぇー、中3でヤンキーデビューだけでもありえんのに、その時期に彼氏ができるとはこれまた・・・・。その頃のあたしはバスケ部引退して必死で塾通いしとったなぁ・・・・。


「で、その彼氏とはどうなったん?」と、あたしが身を乗り出して興味深々で聞いたら、アンはつまらなさそうな顔であっさりと言った。


「別れたよ」


                                                                つづく



もしも君が泣くならば・・・