小話 嵐の夜には その3 | 彼女になれますか? 【AKB創作小説】

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小話 嵐の夜には その3






***


翌日の放課後。
一階の廊下では生徒たちが下校しようと自分たちの教室を後にしているのが見える。
アスカは智美達と歩いている途中だったが、どことなく弱気な表情をしているようだ。

今朝、教室中をくまなく探してもなかったあのサングラス。
もしかしたら違う教室なのだろうか?と考え、今日の昼に魔術で時を止め学校中を探し回ったが、見つからず体力だけ無駄に使ってしまったのだ。
仕方なく席に戻り時間を再び動かした瞬間、ゼェゼェと疲れ果てている悪魔の姿に智美は「え?なんで?」と首を傾げた。

そんな訳でいまだに見つからない探し物。
しかし確信を持って言えるのはもうこの学校には落ちてはいないということ。誰かが拾ってしまったか捨てられたか。
どうしよう。激怒した親友の顔を想像して少し震える。
どう言い訳しようかと悩みながら唸っていると。

「けっちゃん!」

その甘い声を聞き間違える訳が無い。
聞こえてきた方へ振り返ると、そこには親友の姿。
紺のブレザー、赤チェックスカートが特徴である松岡高校の制服に身を包んだ彼女の姿に、口があんぐりと開いてしまう。

「あ、あああみなっ…?なんで?」
「けっちゃんがこの格好して人間界に行ってるの毎日見てたからね。」

ドヤ顔をしながらそう言い終わると突然キツく抱きつかれ、アミナは一瞬何が起こったのか把握できずに狼狽えた。

「アミナかわいいい!!!二の腕!二の腕食べさせて!!」

はぁはぁと息を荒くして制服の袖をめくろうとする変態な親友に、彼女は手加減なしにキツめのチョップを食らわすのだった。

「倉持ー、何してんの?早く行くよー?」
「あ、ごめーん!ちょっと待って。」
「お前早くしろよー…って!あああ!!アミナ!なんで!?」

そう驚きながら彼女を指差した天使は急いで彼女の元へと駆け出した。

「あー、サエちゃん!久しぶりだねー。」
「久しぶりぃー!えー?なに?元気にしてた?」

ニコニコと満面の笑みを浮かべたサエは、アミナの頭をポンポンと軽く叩き労わるように頬を撫でた。
その一連の動作に少し頬を染めたアミナの隣で、羨ましそうにその光景を眺めているもう一人の悪魔。

しかし目の前の人物が悪の化身だったことを思い出し、サエは少し警戒するように距離を取った。
個人的には悪魔になった今でもちゃんと一人の元同僚として接したいのだが、どうしてもアスカに人形にされたトラウマが蘇ってしまう。

天使はそんな葛藤に悩みながら「どうしたの?」と声をかけた。

「ちょっと探し物…なんだけどさ。」
「探し物ー?人間界に?なんで?」
「そうなの!なんでかっていうとこのド変態野郎が…」
「いや、私の話はもういいからさ」
「もともとお前のせいだろ!」

突然始まったケンカを止めるためにサエは2人の間に入り、ヒートアップするアミナを落ち着かせようと抱き締めた。

「2人とも、とりあえず冷静に!ね?」

そんな仕草にまた彼女の顔が赤く染まる。
その時。

「サエちゃん!」
「ふえ?ともーみ、どうしたの?」
「あ、あのさ…その手、離した方が…いいんじゃないかな?」
「え!?ごめん、アミナ!嫌だった?」

友人に注意された天使は、悪魔を抱きしめていたその手をパッと離し平謝りしている。
その流れに満足そうに微笑んだ智美の顔を見て、アミナはボソッと呟いた。

「サエちゃん、相変わらず皆の王子様やってるんだね…」
「王子様??」
「自覚ないのか、この天然人たらしは。」
「ええー?つーかヒトタラシって何??」

ケラケラ笑う天使のその笑顔に、はぁー…とため息をついた悪魔。
アスカは「ちょっと友達と用事あるから先に帰ってて」と彼女達と別れ、アミナと2人きりになる。

「で!サングラスは!?」
「いやぁ~…」
「…おい。どうした?」
「み、見つからなくて…多分誰か持ってっちゃったかも。」

はぁー!?と怒鳴り声が廊下中に響いたので、慌てて彼女を黙らせる。

「どうすんだよ!?」
「だからさ、もう一回あの人に占ってもらうしか…」
「わるきー?」
「うん。じゃないとわかんないし。」
「あー、もうめんどくせぇからあいつも人間界連れてきちゃおう!」

そう言いながらアミナは親友の手を掴み、ひと気のない場所を探してからコウモリのような翼を出現させて姿を消した。



***



薄暗い洞窟の中、岩肌の丘の上に建つ古城。
その長い廊下の片隅、小さな部屋の中でテーブルに肘を置き頬杖をつきながら水晶を見つめる少女がいた。

水晶に映し出された女の子を見ながらニヤニヤと笑っているその姿は少し不気味な雰囲気を漂わせている。

「ふふ、また偉い人の前だと借りてきた猫状態やなぁ。ほんまはめっちゃおもろい子やのに。」

そう独り言を呟いた彼女は、その少女の普段の姿を知っているらしいが、実際に話したわけではなくきっと映像の中だけだろう。
そんな中いきなりバタンと大きな音を立てて開いたドアに、思わずギョッと目を見張る。

「わるきー!」
「あっ!今朝の!私、わるきーちゃいますって!」

そう言いながら慌てて水晶を隠す彼女を見て、アミナは彼女を指差しながら呆れたように口を開いた。

「お前、またストーカー行為してんのかよ!いい加減やめとけ!」
「すっ!ストーカーちゃいます!観察ですぅ!」
「どっちでもいい!ちょっとこっち来て!」

グイッと彼女の手首を掴み、部屋から引きずり出したアミナは、そのまま長い廊下を早歩きで進む。

「え?ええ?どこ行くんですかぁ?」
「人間界!」
「え?…えええええー!?」

城の主の叫び声が廊下に響いた後、アミナは容赦無く嫌がる彼女を無理やり連れて人間界へと向かった。