高校時代のクラスメートの広田君からドライブのお誘いがあった。

広田君は一浪して、私と同程度の他大学(マーチの下のグループ)に通ってる。

 

時々思い出したように、遊びに行こうの連絡をくれるのだけど

それはきっと彼女と別れた時なのだろうと私はにらんでいる。

 

高校時代、なんとなく喋る仲ではあったけど、別に付き合ったこともない。

大体私には、片思いの憧れの君がいたのだ。

それはもう、かっこよくて硬派で、女の子よりも男子グループで騒いでいる方が

楽しくてしょうがないと言った片思いの君。

 

もちろん女子に人気もあって、とうとうただ見ているだけで高校生活が終わってしまった。

何人かから告白されたという噂も流れていたけど、女子の噂の中では

彼女を作ったという話は聞かなかったな。

 

なぜ告白出来なかったかというと、人気があったことと、

もし告白して断られたら、もう好きでいることも断ち切らなくてはいけないから。

告白しない限りは、ずっと好きでいられる。

ごめん、付き合えない、なんて言われたらもう諦めなくちゃいけない。

諦めるなんて、やっぱり出来ないくらいに好き。

・・・という高校時代のうぶな私。

 

それに、片思いの君が仲良かったのは、私の友人の方だった。

その友人もその彼が好きだったのだ。

もはや、彼を好きな女の子グループでキャーキャー騒ぐ姿はファンクラブだった。

漫画だと、ファンクラブの子たちは誰も付き合えないのはお約束。

私の友人もやっぱり告白せずに終わっていた。

彼女の方は、仲の良い女友達という彼に近い場所を失いたくなかったのかもと思う。

 

で、広田君はというと、三枚目的なポジションで親しみやすい男子だけど、

女の子にもてるのかは私にも分からない。

いじられキャラというのだろうか。

それでもちょいちょい女子と付き合ってはいるようだ。

 

広田君は、常に誰か好きな女性がいるのが普通なのだそう。

なので一つの恋が終わったらすぐに次の女性へと心が向かうらしい。

そんな人もいるのかとビックリだけど、確かにそのタイプの女性は多いのかも。

そうでなければ、彼氏が途切れたことのない子たちは説明できないものね。

 

もっとも私と広田君はお互いの好きな人のことなど語ったこともない。

今、付き合っているヤツいるの?なんて聞かれたこともない。

私はいつでも彼氏なしとみられているのかもしれない。

まあ、広田君が私に連絡をくれる時は、一つの恋が終わった時なのだろう。

だからこそ、友達というカテゴリーでこうやって時々二人で出かけられるのだろう。