心がざわざわして、

仕事に集中できない時間が増えてきた。

 

でも、もしものことが起きたら、

私は娘を一人で育てていかなければならない。

 

仕事をおろそかにできないよね。

今日もお仕事頑張ります。

 

 

 

 

 

夫のこと

 

 

夫の癌は直腸癌ステージ4ではあるけれど、

MRIでは肝転移か、播種かどちらか分からなかった。

お腹を切るまで分からないと医師に言われていた。

 

ただ、肝転移と播種では全く予後が変わる。

播種の場合は大腸癌の切除は意味がなく、しない。

ストマをつけて、

余命宣告という話になるとも言われていた。

 

 

 

その日、私は医師に長時間の手術になるから、

家にいてください。

電話で細かく連絡をしますとのことで、

仕事をしていた。

 

 

 

5時に起きて家の大掃除をして、

何度も自分に大丈夫と言い聞かせて

いつもどおり忙しい月曜日を過ごしていた。

 

 

11時1分、電話が鳴った。

【手術が終わりました。播種でした。】

 

ありがとうございました。

一番いやな結果ということですね?

余命宣告になるんでしょうか?

 

【播種の広がり方ですが、通常の広がり方と違い、

2カ所にかたまっていました。

治療法がないとは考えていません。】

 

夫と3人で話を聞きたいです。

 

【お時間作りますね。】

 

よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

一瞬、頭が真っ白になったけど、

やっぱり夫のことが気になった。

 

 

会いたい!

目を覚ました時にどんな気持ちだろうか。

がっかりするだろうな。

そばにいたい。

 

 

1時間後くらいだと思う、キリがいいところまで仕事を終わらせ、

娘を預かってくれる人を探していると、

LINEが来た。

 

【目が覚めました。手術はすぐに終わったようだね。

あまり考えすぎないでね。】

 

 

それからのことはよく覚えてないけど、

本当に飛んでいきたい気持ちで電車に乗った。

 

私の気持ちは結構落ち着いていたと思う。

泣いたり、絶望したりはなかった。

ただただ夫に会いたかった。

 

 

病院に着くと、

酸素マスクの夫は医療用麻薬でボーっとはしてるものの、

意識はしっかりしてて、

【播種だったね】と言った。

 

次の戦略を練ろうね!

 

とのんびり話をしながら、

1時間くらいそばにいた気がする。

 

 

最後には娘が安心するように夫の写真を撮った。

 

体が辛くても、酸素マスクを取って

ピースする夫は娘の大切なお父さんだ。

 

 

 

その日から今日で9日経った。

 

 

私頑張ってる!

 

 

イベントバナー