東洋医学の原典は黄帝内経素問・霊枢である。科学的考察がない時代にいろいろな結論を導き出すには帰納法しかなかったと思われる。帰納法とは数多くの同じ事例から結論を導くものである。


鍼灸治療において同じ事例とは何かを考える必要がある。単純に症状が同じというだけではダメである。例えば肩凝りがあった場合、原因はいろいろ考えられる。筋肉痛から循環器、内臓からの投影現象といったように原因はいろいろあり、また肩上部、肩背部、上腕部などと部位もさまざまである。


そこで診断が必要になって、診断名によって同じ事例が集まる。入江式治療システムではCDライン上の反応点で12経絡の異常を見つけ、決められたツボに鍼を刺し、IP器に結線し、CDライン上の反応が消去できていれば、正しい治療としている。もちろん肩凝りが軽減されていなければならない。何故なら経絡治療は身体全体を整えるためのものであるからだ。


本治法の治療後、肩にFTをして病的反応が消えたことを確認して、「どうですか」と尋ねると「すごい」「らく」「違う」とびっくりされる方がいます。しかし「わからない」という方もいます。このことは、病的反応の有無と違和感の自覚はイコールでないということです。痛みの有無はわかりやすいが、違和感というのは何か幅があるようです。敏感な方もいれば鈍感な方もいる、さらに、症状の重い方の場合は、症状の軽減具合いでハッキリと認識できないこともあるでしょう。


患者さんには治療結果で効果を判定してもらえばいいのだから、帰納法は関係ありません。帰納法で証明する相手は鍼灸師であり、経絡治療がいかに素晴らしいかを説明していきます。