お腹が冷たい人がいる。指摘すると、冷たいものは飲んでいませんとか、お腹の具合は悪くないですなどいろいろな答えが返ってくる。原因はいろいろ考えられる。食べ過ぎ、飲み過ぎなど自覚がなくても胃腸に負担があればお腹は冷える。食事の時間、間食の問題、さらに飲食とは関わらないものではストレス、睡眠不足、冷え、汗も関係してくる。ポカポカしたお腹が望ましい。


本治法、標治法を積み重ね、お腹の改善に取り組むべきと考えています。東洋医学には《寒・熱》の概念があり、冷えに関しては注意深くする必要があります。簡単に温かくなるものは、それはそれで良いが、お腹の冷えが続いている場合こそ東洋医学の出番です。弱った機能を回復するための医療と考えています。


手をお腹に当てて、温かさを確認してください。上腹部、下腹部、臍の辺り、同じ温かさですか?背中とお腹も温度差を確認してください。但し、飲食直後は本来の温かさと違うので注意してください。


鍼灸師はお腹の冷えに注目しているが、冷えたお腹が温かくなって何が違うか解らないという方には、丁寧な説明が必要です。鍼治療でお腹が暖かくなる、不思議だと思いませんか?手足に刺入した鍼で、経絡を動かし、お腹の冷えを取り除く、鍼灸師の技術力の証明です。また、科学では証明できない経絡の存在を示したものといえるでしょう。冷えたお腹が温かくなれば、患者さんはきっと気持ち良くなるでしょうし、鍼灸治療を信じていただけるのでは。