処理水タンク、22年夏限界 東電試算 福島第一増量は困難
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東京電力は八日、福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、タンクでの保管は二〇二二年夏ごろ限界になるとの試算をまとめた。タンクを大型にするなどして保管容量を増やすのは困難という。九日に開かれる政府小委員会で説明する。処理水を薄めて海洋放出することも検討されているが、漁業関係者の反発は強く、難航が予想される。
処理水の処分方法を議論している小委の開催は約七カ月ぶりで、これまでは地層注入や蒸発など五つの処分方法を検討してきた。今回から長期保管も選択肢に加わるが、東電は改めて処分の必要性を主張する見通し。
保管中の水は今年七月末時点で約百十万トンに上り、東電は二〇年末までに敷地内で百三十七万トン分のタンクを確保する計画だが、それ以降は未定だ。一日当たり百五十トン前後の現在のペースで処理水発生が続くと二二年夏ごろ容量を超える。
東電によると、現行のタンク(一基約千四百トン)より大容量の十万トン級タンクに交換するとしても、大型クレーンでの設置が必要で間隔を広く取らなければならず、結果的に保管容量は増えない。敷地外での保管は、移送が難しい上に周辺自治体の理解も必要なため、現実的な選択肢ではないという。
また、今後取り出す溶融核燃料(デブリ)などを保管するのに最大約八万平方メートルの確保が望ましく、タンク三十八万トン分の敷地に相当。資機材保管場所も含めればさらにスペースが必要としている。
<福島第一原発の汚染処理水> 東京電力福島第一原発では、溶け落ちた核燃料がある1~3号機の建屋内に注ぐ冷却水と、流れ込んだ地下水が混ざって高濃度汚染水となり、増え続けている。汚染水は多核種除去設備(ALPS)で浄化処理しているが、放射性物質のトリチウムは除去できない。トリチウムは人体への影響が比較的小さいとされ、他の原発では希釈して海に放出している。第一原発では浄化後の水をタンクに保管しているが、敷地に余裕がなくなってきており、廃炉作業に影響が出かねないと指摘されている。
「東京新聞」より
原発敷地内のタンクが増え続ければ、溶融燃料(デブリ)の取り出しなど廃炉の重要な作業に支障が出かねない(東京電力福島第1原発)
もうひとつ、関連記事を。
東電、廃炉の同時進行で人手確保に懸念
福島第1原子力発電所の廃炉は、原発事故の損害賠償や除染の巨額費用を稼ぐ必要がある東京電力ホールディングス(HD)にとって最大の経営課題だ。さらに福島第2原発の廃炉も決まる中、第1と第2の原子炉計10基の廃炉を同時に進めるため、人手をどう確保するかも新たな懸念材料になっている。
東電は福島第1の廃炉や賠償などの費用として総額16兆円を負担する必要がある。この必要資金として少なくとも年間5千億円を確保した上で、毎年度4500億円の最終利益を目標に掲げている。しかし、期待する柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は見通せない状況が続き、収益目標達成のメドも立たない。
さらに、福島第2の廃炉にも並行して取り組まざるを得ず、人材確保が新たな課題に浮上してきた。第2は、第1のように溶融核燃料(デブリ)を取り出す必要がないため、第2の廃炉が先行する可能性もある。その場合、第2で培った廃炉ノウハウを第1に応用できるメリットは期待できるものの、廃炉作業は40年以上かかるとみられる。両原発の廃炉作業が重なる期間は長くなるとみられ、作業員が足りなくなるリスクは大きい。
東電には第1、第2の廃炉工程を明確にする作業が求められそうだ。
さらに不測の事態に備えた体力強化も欠かせない。東電は現在、今後の成長が期待できる事業分野の育成を急いでいる。既に「燃料・火力発電」「送配電」「電力小売り」の各事業をそれぞれ分社化したのに続き、来年4月には、太陽光発電など再生可能エネルギー事業を分社化することを決めた。いずれも分社化で意思決定を速くし、稼ぐ力を最大化して目標収益の達成を図る狙いだ。(平尾孝)
「産経新聞」より
こう言う記事を読むと、何だか断末魔という言葉が想起された。
東電にとって、原発は喉頸を締め付ける悪魔なんじゃないか。
原発に固執している政策が次の「フクシマ」を作り出す危険性は東電以外の原発頼みの電力会社は常に負っている。
そしてそのことは国民に対する命の危険も、そして膨大な財政負担も負わせる事になりかねない。
つぎの文章は、8月25日に開催される「浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク総会」のお知らせメールに添付されていた問題提起原案。
簡潔に今の状況がよく分かる。
原発を巡る状況
世界の原発を巡る情勢は脱原発に急速に向かっている。日本はその流れに抗して原発を重要なエネルギーと位置づけ、強引に原発推進政策をとり、他国があきらめた核燃サイクルさえ捨てようとしない。そこには福島事故などまるでなかったかのように棄民政策を押し進めている。安倍自公政権は原子力ムラと一体となって原子力発電を重視してのエネルギー政策を推し進めている。その中では原発ゼロ法案の審議は棚上げされたままである。
1.再稼働状況
再稼働された原発は、九州電力、四国電力、関西電力の加圧型の原発が先行し9基である。福島事故の沸騰水型原発の再稼働はいずれも規制庁に審査を申請しているものの新潟の柏崎刈羽・東海第2原発をのぞき審査は大幅に遅れている。
いずれの地でも市民運動そして法廷での闘いが強力に進められている。最近、特定重大事故等対処施設(特重)の完成が遅延していることが規制庁から指摘され、特重が予定通り完成しなければ、原発停止もあり得ると言われている(川内1・2号機来年3月停止)。
今最も注目されている原発は、茨城県東海村の東海第2原発(日本原子力発電・沸騰水型)の40年を超えての再稼働を巡る状況である。首都圏を巻き込み大反対運動が起こっている。この原発の再稼働を巡る成り行き浜岡原発再稼働に大きな影響を与える。
2,浜岡原発を巡って
現在規制庁への審査請求は、浜岡3・4号機である。4号機を先行させ審査が行われている が、規制庁による津波高などに見られように規制中からの注文は多く合格のめどは立っていない。南海トラフ巨大地震と活断層の存在は避けて通ることはできない。
川勝県知事 現状では再稼働は認められない。琉球新報の全国の県知事に対する辺野古基地県民投票結果についてのアンケートで、川勝知事は「民意を尊重すべき」と答えた。この答は岩手県知事と2人だけであり。このことにより知事は再稼働反対へさらに一歩踏み込んだと見受けられる。
周辺自治体 5月の各マスコミアンケートは浜岡再稼働に賛成する首長はゼロ、反対は4 であり、地元意識は周辺4市(御前崎、菊川、牧之原、掛川)から拡大し、UPZ圏(31㎞) 、さらに全県下に広がりつつある。規制庁の合格証が出た段階でこの状況がどう変化するか想定しながらの活動が求められている。
中部電力 見学会の実施、電通をはじめとしたマスコミでの宣伝(電事連ー石坂浩二起用)、 安全対策工事の継続(既に4,000億円を投入)、東海第2への資金援助、核のゴミ対策として青森に事務所設置し再稼働へ向け着々と歩を進めている。
県民の動向 福島事故から8年以上が経過し、原発反対に積極的ではないが問われれば「反対」「不安・危険」との答が多数を占める。
反対運動 再稼働を許さない静岡県ネットワーク(県ネット)
UPZ市民団体交流会
各市町での反対運動
などの市民運動団体を中心に脱原発運動が展開されている。
また、東京高裁、静岡地裁、静岡地裁浜松支部の3カ所の法廷において闘われている。
原発を巡る課題は大きくは次のように分かれる。
●安全・危険とそれに付随する問題
再稼働(40年問題)、廃炉、新設、過酷事故での避難問題、核のゴミ、安全協定、規制委員会とその審査及び規準(地震、火山、テロ)、放射線に関する副読本、電力会社の宣伝など
●経済性とそれに付随する問題
エネルギー政策、自由化(新電力)、発送電分離、核燃サイクル、原発輸出、太陽光発電の制度改悪、他のエネルギーとのコスト比較など
●3・11事故に関わる課題
福島支援、国の棄民政策と被災者の生活保障、復興とオリンピック、事故の責任追及(国、 東京電力、原発メーカー)、賠償、甲状腺ガンと医療、汚染水処理、新安全協定締結問題、 日本版チェルブイリ法の制定、放射能汚染防止法の制定など
田上長崎市長の「長崎平和宣言」が涙なしに読めない。
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目を閉じて聴いてください。
幾千の人の手足がふきとび
腸わたが流れ出て
人の体にうじ虫がわいた
息ある者は肉親をさがしもとめて
死がいを見つけ そして焼いた
人間を焼く煙が立ちのぼり
罪なき人の血が流れて浦上川を赤くそめた
ケロイドだけを残してやっと戦争が終わった
だけど……
父も母も もういない
兄も妹ももどってはこない
人は忘れやすく弱いものだから
あやまちをくり返す
だけど……
このことだけは忘れてはならない
このことだけはくり返してはならない
どんなことがあっても……